新しい街で住民とのふれあいを育む
企業名 | 株式会社 JOTC |
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代表者名 | 代表取締役社長 松山 敏広 |
設立 | 平成17年2月2日(創業 昭和39年8月1日) |
資本金 | 1,000万円(平成20年11月現在) |
社員数 | 10名(平成20年11月現在) |
所在地 | 兵庫県神戸市灘区岩屋南町4-36 HAT神戸 |
主な事業活動 |
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ホームページ | - |
掲載日 | 平成20年12月5日 |
株式会社JOTC 常務取締役・センター長 渡久地広一さんにお話を伺いました。
株式会社JOTCは2005年設立のまだ若い会社ですね。
JOTCの母体である松山電機工業株式会社は1964年の設立で、下請け工場として阪神間の大手機械メーカーから信頼を受けていました。しかし、阪神・淡路大震災で尼崎市の自社工場が全壊しました。その頃は機械メーカーが下請を海外へ移そうとしていた時期でもあり、工場再建を断念せざるを得ませんでした。そして、当社の熟練した技術者をメーカーへ派遣するアウトソーシング業務に切り替えました。
その後、世間では「ニート」や「少子化」といった言葉があちこちで聞かれるようになり、技術者の世界も高齢化が進んで人材不足が深刻となってきました。
そこで、若年層の就職問題の解消と、「ものづくり」の技術の未来への継承を目標に、職業訓練施設であるJOTCを2005年に設立しました。
社会貢献活動を始めたきっかけは?
JOTCを神戸の新しい街、HAT神戸(注1)に設立したことがきっかけです。この街の住民も企業も、1998年の街開き以降にこの地に住むようになったことから、人と人との結びつきがまだ充分とは言えません。
そんな状況の中、誰もが幸福で、活気あふれる街をめざして活動しておられる『脇の浜ふれあいのまちづくり協議会』と『なぎさふれあいのまちづくり協議会』から、民間企業と住民で地域を盛り上げようと誘われ、当社でできることならと協力をお約束しました。
注1: 震災で甚大な被害を受けた市街地の住宅や産業などの受け皿として整備された神戸市の東部新都心で、1998年に街開きした。「HAT神戸」は「Happy Active Town」の頭文字を組み合わせた愛称。
どのような活動をされているのでしょうか。
夏祭りのお手伝いをしたのが最初です。お手伝いをするうちに、地域の皆さんは果たしてどのような街を望んでいるのだろうか、という思いがわき上がってきました。
そこで2006年7~8月に、『生活者の視点による地域活力・活性化に関するアンケート』という住民アンケート調査(配布枚数:7976枚、有効回答数:365枚)を行いました。結果は当社のホームページに掲載して、地域の皆様にご覧いただくとともに、私どもの社会貢献に役立てています。
ここは新しい街ですから、昔から伝わった祭りがありません。「お祭りなどを充実させてほしい」「環境をおびやかされるイベントは困る。住民に配慮した形で行ってほしい」などの意見を尊重しながら、住民同士の交流が生まれ、みんなが一つになれるようなイベントを企画しています。
HAT神戸10周年記念のイベントも企画されたとか。
10周年を記念して各公的機関でもさまざまなイベントが企画されました。それらの案内を載せたパンフレットを当社で作成し、当社が企画した『アート&ライフ マーケット』も合わせて『アート&ライフ フェスティバル』と題しました。
パンフレットには、スタンプラリーも加えました。『兵庫県立美術館』『ひょうご国際交流プラザ』『JICA兵庫』と当社の4ヶ所でスタンプを集めるというものです。アンケート調査の「公的施設は多いが、住民との接点が少ない」との意見から、各施設に協力を求め実現しました。
子供たちは当社にもスタンプを貰いに来ました。そんな時、社員は自分たちが企画したイベントの反応を知ることができるのです。「ありがとう」「面白かった」と言ってもらえるとうれしいですね。社員たちも楽しみながら活動しています。
あいにくの雨でマーケットを中止したことは、本当に残念でした。
ミニコミ誌も発行されていますね。
地域の皆様のお役に立つ情報を提供する地域密着型の情報誌『JOTC PRESS』は、住民アンケートを第1号と位置づけ、隔月奇数月に20,000部を当社が制作・発行しており、2008年9月で第12号となりました。HAT(Happy Active Town)神戸を、よりHAPPYでACTIVEな街にするために、楽しい街の情報発信装置となることをめざしています。
これも住民アンケートの「手軽なコミュニケーションなど多数あると親しくなるきっかけとしてよいと思う」という意見をヒントに当社の社員が考えたものです。
他にはどのような活動がありますか?
毎年、『夏休み親子工作教室』を開催しています。地域の方とのコミュニケーションを広げるとともに、子供たちには普段めったに触れることのできない本物の工作機械を触ってもらって、「ものづくり」の仕事に興味を持ってもらいたいというものです。 また、親子の思い出づくりや夏休みの宿題にも役立てばと思っています。
トライやるウィークも受け入れていますが、そのために、中古ですが、ハーレー(注2)のオートバイを購入しました。
私たちが子供の頃には、捨てられた家電製品を分解して部品を取り出したりしたものです。その体験は、大人になっても『手の記憶』として残り、『知恵』を与えてくれます。
子供たちには自由にハーレーを分解してもらいます。その後、当社の熟練工が組み立てなおし、また分解されるのを待つのです。
注2:ハーレーダビッドソン (Harley-Davidson) は、ウィスコンシン州ミルウォーキー市に本部を置くアメリカ合衆国のオートバイ製造会社。通称ハーレー。
HAT神戸がどんな街になればよいと思いますか?
私がHAT神戸にイメージしているのは、家族やご近所や、人と人とのつながりが深かった昭和40年代の日本です。
ここは新しい街で、美しすぎて少々冷たい感じがするのも事実です。しかし、それをここに住む人たちで暖かくしていくことは可能だと思います。
子供たちが「渡久地のおっちゃん、キャッチボールしよう!」と言ってくれるようになることをめざしています。
これから社会貢献活動に取り組もうとする企業への一言をお願いします。
当社は未来志向なので子供が笑顔になる活動を、この地に会社を設立したご縁、この地でお付き合いのできた人たちとのご縁、いろいろなご縁に恵まれて行ってきました。
どのような活動をどのようにするのかは、経営幹部の価値観を反映するものではないでしょうか。
ただ、「ともに楽しむ」ということを忘れないでいてほしいと思います。