一歩ずつ、患者さんと共に。
~リリーバリューをモットーに活動を継続~
事業者名 | 日本イーライリリー株式会社 |
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代表者名 | 代表取締役社長 パトリック・ジョンソン |
設立 | 昭和50年11月1日 |
資本金 | 127億円7,250万円 |
社員数 | 3,270名 |
所在地 | 神戸市中央区磯上通7-1-5 |
主な事業活動 | 医療用医薬品の製造および販売 |
ホームページ | https://www.lilly.co.jp/Default.aspx 日本イーライリリー株式会社のページへ |
掲載日 | 平成28年1月4日 |
日本イーライリリー株式会社
広報・CSR部 統括部長 北野 美英 さん
広報・CSR部 企業広報・社内広報 担当課長 仁井 幸江 さん
広報・CSR部 企業広報・社内広報担当 浅井 美樹 さん
お話を伺いました。
貴社で実施されている社会貢献活動について教えてください。
日本イーライリリーは、2015年に創業40周年をむかえました。「研究開発こそ企業の魂である」という創業理念のもと、グローバル製薬企業として、新薬の世界同時開発などの一段と力を注ぐなど、まだ満たされていない医療ニーズにこたえ、人々の豊かな一生を支え続けるために、画期的な“世界初”の医薬品を開発・提供してきました。これからも、患者さんのすぐそばで、次の「世界初」を追い求めていきます。
私たちは、常に患者さんを見つめ、その患者さんたちを応援し続けているこの想いを届け、患者さんたちを取り巻くさまざまな課題を解決するために、支援活動を次の4つのコンセプトのもと行っています。
コンセプトのひとつめは「患者さんとご家族への貢献」です。『インスリン50年賞』や『リリー・オンコロジー・オン・キャンバス・ジャパン』の開催、また『精神障害者自立支援活動賞(通称:リリー賞)』を広く社会へ紹介するなど、製薬会社として患者さんとご家族、またその支援者の皆さんの気持ちに寄り添いながら支援する活動を展開しています。
次に「地域社会への貢献」です。毎年10月に、世界中のイーライリリーカンパニーで地域貢献活動『リリー・グローバル・デイ・オブ・サービス』を行っています。その一環として、私たち日本イーライリリーでも社員の地域コミュニティ貢献を促しています。特に、阪神・淡路大震災を経験した神戸に本社を置く企業として、2011年以降は東日本大震災の被災者支援を中心に、日本各地の震災・災害復興の一助としていただくための寄附活動を積極的に続けています。
さらに「高齢社会への貢献」へも力を入れています。現代の地域が抱える課題解決に我々にもできることが何かあるのではないかとの想いをもち、村民の9割が65歳以上という限界集落の淡路市興隆寺集落において農地交流活動に取組んでいます。
そして最後に「企業としての責任ある行動」です。西神ラボラトリーズでの、節電・節水・資源削減など環境に配慮した取り組みの実施を代表に、社員一人ひとりが企業人として責任のある行動をとっています。
まず“患者さんとご家族への貢献”として取り組まれている活動について教えてください。
『インスリン50年賞』は、糖尿病の治療のためインスリン製剤の実用化に世界で初めて成功したイーライリリーが、昭和49年(1974年)に米国で設立しました。インスリン治療を50年以上継続されている患者さんの努力を称えるとともに、ほかの患者さんにも治療に前向きに取組んでいただくことを願って開催されています。これまでに日本を含め世界中で約1,500名以上の患者さんが受賞されています(2015年10月現在)。
『リリー・オンコロジー・オン・キャンバス・ジャパン』は、日本イーライリリーが平成22年(2010年)に開始した絵画・写真コンテストで、今年度で6回目をむかえます。
がんと診断された患者さんとその患者さんを支えておられるご家族・支援者の方々による絵画や写真を表彰し、作品に添えられたメッセージとともに発信することで、がんと共に生きる想いを芸術を通して表現し、共有する機会としています。絵を描いたり写真を撮ったりすることにより、内に抱えている様々な感情を生きるエネルギー・生きる力に変えておられる人生・姿は、患者さんとその家族だけでなく、がん治療に携わる医療関係者にとっても励みに、そして希望の一歩となっていると聞いています。
展覧会でご紹介するとともに、ホームページ・フェイスブック等で広く発信していますので、ぜひご覧いただきたいと思います。今年度は、10月1日から1月31日まで応募登録を受け付けていますので、がんと生きる想いを表現してください。
『リリー・オンコロジー・オン・キャンバス・ジャパン』HPはこちら→ https://www.locj.jp/
次に“地域社会への貢献”として実施されている『デイ・オブ・サービス』を起点とした活動について教えてください。
イーライリリーカンパニーでは、10月1日を『リリー・グローバル・デイ・オブ・サービス』としており、世界各国でこの日を拠点として様々な地域貢献活動を行っています。
私たち日本イーライリリーでは、毎年10月1日から10月20日までの間を「リリージャパン・デイ・オブ・サービス」とし、地域貢献活動の実施期間としています。この間、社員は社員同士でチームを組み、リリーロゴの入った赤いTシャツを着て、ゴミを拾いながらウォーキングしたりその後公園でランチをしたりしてこの活動を楽しみながら実施しています。
活動後、社員から受けた報告内容に応じて一定の金額(1人2㎞毎に1,000円として算出。コミュニティ貢献活動を実施すると500円/人が加算される。)を震災・災害復興支援基金などに寄附する流れになっています。
寄附金は、ひょうごボランタリープラザ等が実施されている東日本大震災被災地をはじめ豪雨災害等の被災地や被災者の復旧・復興支援に役立てていただいています。
この活動の特徴は、活動のやり方・内容を社員の自主性に委ねている点と被災地に赴くことが難しくても間接的に被災地の復旧・復興支援に携わることができる点にあります。期間中に社員が行う活動であれば、何時でもどこでもどの社員と組んでも活動の対象になります。全社員がさまざまな形で被災地を支援できる仕組みがあることは、社員のモチベーションアップにもつながっています。
平成20年に職員提案により始まった日本イーライリリーの『デイ・オブ・サービス』の活動スタイルは、仕事をしながら気軽に楽しく誰もが地域貢献活動に取り組むことができることから、今後も継続していきたいと考えています。
“高齢社会への貢献”として淡路市興隆寺集落との交流について教えてください。
社会が抱える課題に企業としてなにかできないか、また神戸に本社を置く企業として地元になにか貢献できないかとの想いをもっていたところ、兵庫県の楽農生活室からご縁をいただき、淡路市興隆寺集落でボランティア活動『農地で交流!元気創出プロジェクト』を実施しています。
社員に希望を募り、里道の草刈りや耕作放棄地の復旧作業を行って農作物を栽培するほか、地域食材を用いた交流会の開催により双方の交流が深まっています。また、神戸本社(三宮)や西神ラボラトリーズ(西神工場)で定期的に開催する農作物直売会、また東京支社や各地営業社員も対象とした社内イントラネットを通じての農作物販売は毎回社員に好評です。
この活動は社員にとって、淡路島という自然豊かな地域・人・農作物に触れることで、淡路島について知るきっかけになり、地域を思う気持ちがふるさと納税につながることもあります。地域においても、課題に積極的に向き合うことで元気を創出することにつながり、地域の農業振興に寄与するとともに、地域の活性化につながっています。
また、この活動には、興隆寺集落で農業振興に寄与している「NPO法人兵庫ふるさと創成センター」に仲介役をお願いしています。地域の実情に明るい同法人に仲介していただくことで、弊社が地域にスムーズに溶け込むことができ、活動の活性化につながっているのだと思います。
ボランティア活動に対しては誰しも構えがちになるものですが、活動のハードルを下げ、入口を作ってあげることで、社員にとっても楽しく気軽にボランティア活動に取組むきっかけになっています。今後も無理なく継続できる活動でありたいと考えています。
御社は働きがいのある会社8位(*)に選ばれていますね。
4つのコンセプトを中心に社会の一員として信頼を得るための活動を継続して行なわれているだけではなく、
他にも力を注がれていることがあっての結果だと思いますが、どのような点が選出された要因だと思われますか。
私たちは、社員一人ひとりの多様な価値観を互いに尊重し、受け入れ活かすことが社員の成長につながると考えています。性別・年齢・障害などに関わらず、あらゆる社員が働きがいを感じ、潜在能力をフルに発揮できるよう、育児・介護支援をはじめとする支援制度やプログラムを充実させています。
また、社員相互の活動やネットワークによる情報交換が活発に行われるような職場環境を整えるよう配慮し、社員の自由な提言の機会を提供し、そこから生まれる社員の提言をさらなる職場環境の改善に活かしたいと考えています。
(*)2015年Great Place to Work® Institute Japan 調査実施
今後への思いをお聞かせください。
私たち日本イーライリリーでは、超高齢化社会の日本で、さらなるアンメットニーズとよばれる「まだ満たされていない医療ニーズ」にお応えし、安全・安心な薬剤を届けたいという気持ちで、社員一人ひとりが情熱をもって日々取り組んでいます。そして患者さんやご家族、さらに支援者の皆さんも含め、地域社会における課題を解決したいという想いで、常にみなさまに寄り添い、声に耳を傾けています。
そのような気持ちのもと、日本イーライリリーだからこそできる活動があると考え、また、継続するためには意味のある活動であるべきだと考え、4つのコンセプトのもと活動しています。
おかげさまで、活動に関わっていただくみなさまから評価していただき、感謝の言葉をいただくことがありますが、活動を通して社員の関心が高まり、社員同士の団結力の高まりも成果のひとつだと思っています。
今後は、日本が抱えている課題、特に高齢社会に役立てるような活動における広がりを目指し、そのためには、県や市町と連携し、お互いのノウハウを組み合わせることが大切ではないかと考えています。そして、県や市町には地域創生をしっかりやっていただき、まずは地域を元気にしていただきたい、そのための牽引役を担っていただきたい、と思っています。
日本イーライリリーは、これからも リリーバリュー『Integrity誠実さ・Excellence卓越性の追求・Respect for People人の尊重』をモットーに、病気とともに生きる患者さんとご家族・支援者のみなさまに寄り添いながら、革新的製品に思いやりを込め届け続けて参ります。
本日はありがとうございました。