経営戦略と社会貢献活動の融合をめざして
事業者名 | 株式会社 トリドールホールディングス |
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代表者名 | 代表取締役社長 兼 CEO 粟田 貴也 |
設立 | 平成2年6月11日 |
資本金 | 4,100,163千円 |
所在地 | 兵庫県神戸市中央区小野柄通七丁目1-1 日本生命三宮駅前ビル11階 |
主な事業活動 | 飲食業を中心とする傘下子会社の経営管理 |
ホームページ | https://www.toridoll.com/ 株式会社 トリドールホールディングス |
掲載日 | 令和2年8月20日 |
株式会社トリドールホールディングス
CSR推進室 室長 大下様
にお話を伺いました。
「手づくり・できたて・臨場感」を提供する外食企業
トリドールホールディングスは、「食の感動を世界に広める」をビジョンに、レストランやショッピングモール内の飲食店舗の開発・運営を手がけています。「丸亀製麺」や「Kona’s Coffee」をはじめとした、幅広い事業を国内外で展開されています。
また、「2025年度世界6000店舗、売上5000億円」の目標を掲げ、新業態の開発や海外展開の加速等、世界中に食の感動を提供するための更なる成長・挑戦を続けています。
社会貢献活動を始められたきっかけは
■CSR推進室・環境委員会の設置
まずはじめに、2011年に当社でCSR推進室を立ち上げたことがきっかけとなりました。外食産業界の中でも早い段階での立ち上げだった、と自負しています。これは、当社社長である粟田自身、当社はお客様や地域住民の皆様の支えがあって成功できたと感じており、CSR活動は創業当初から重要視していたためです。設立後は、当社独自のCSRミッション「GPEC」(※1)を掲げ、事業と一体化した社会貢献活動を進めています。
また、SDGs(※2)や、気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」の世界的な流れを汲み、2017年に環境委員会を設立しました。当時、業界では環境問題への取り組みが遅れている風潮があり、当社も例外ではありませんでした。環境問題や飢餓貧困の撲滅などに対する取り組みよりも、消費者対応等、守りのCSR活動を主においていたためです。環境問題等への取り組みも強化するために設立した環境委員会では、当社のCSR活動をしっかりとレポーティングし、社内外に発信していこうと、ホームページ上でのサスティナブルページの開設や従業員向けのCSRレポートの作成を開始しています。
具体的な社会貢献活動について
■地域の子どもを対象とした食育活動『まるごとまるがめ体験教室』
丸亀製麺では、お子様に食の尊さや親への感謝の気持ちを伝える食育活動として、2012年から各店舗が地域のお子様を対象に『まるごとまるがめ体験教室』として、うどん教室を開催しています。創業の地である兵庫県の店舗から開始し、今までに延べ35,000人以上の皆様にご参加いただきました。
当社は家族をターゲットとしていて、お子様も大切なお客様と捉えているという背景があります。家族で外食をするという豊かさや、楽しさには普遍性があると感じており、中でもお子様たちに何か喜んでいただける当社独自の仕掛けはできないか、ということでこの取り組みを始めました。
この教室では、参加者に小麦粉と塩と水のみを使って、手打ちでうどんづくりを体験してもらっています。2時間から3時間かけて、生地を練って、延ばして、切る課程まで自分達で全部行った“手づくり・できたて”のうどんを作って食べてもらうことで、自分でご飯を作る経験の少ないお子様にも、ご飯を作る大変さや、家族のありがたさを感じてもらい、この教室を通して「食」という楽しさを伝えることに繋がっています。参加したお子様をはじめ親御さんから「ありがとう」と言っていただけることや、店舗のある地域のお客様のために取り組めることは、従業員にとって大きなやりがいになっているようです。
■子ども食堂への取り組み
以前はアフリカの子供たちへ給食の提供等、海外への支援活動を行っていました。しかし、より身近なところにもさまざまな食の問題があるのではと考えていく中で、現在は子ども食堂の支援をしています。
東京の子ども食堂のネットワークフォーラムの実行委員として運営にも携わっており、食に携わっている企業として、食品の衛生管理や組織運営面でのアドバイス等をしています。子ども食堂での多様なニーズを知るきっかけにもなり、これからも積極的に関係各所との関係づくりを行っていき、企業としてよりサポートできることがあれば、取り組んでいきたいと考えています。
■その他の社会貢献活動
社長が観光大使を務めたことをきっかけとした丸亀城修復の募金活動、四国アイランドリーグとのパートナー連携の締結、インバウンドや高齢者の雇用支援など、当社が地域に貢献できることに幅広く取り組んでいます。
また、地域住民の皆様のご要望がありましたら、高齢者施設や特別支援学級で課外授業を実施するなど、様々な事情に沿った取り組みを行っています。
活動を継続するうえで社内での取り組み
■社内理解の浸透のために
当社では、CSR部門やSDGsに取り組もうと発信している人達だけが、社内外の社会貢献の情報等に詳しく、当社全体としては社会貢献活動の社内理解度が低い傾向にありました。社外へ情報発信をしていくことももちろん重要ですが、まずは社内への浸透を図っていこうと、毎年CSRレポートを作成しています。
当社のCSRレポートは、一部の株主や一般の方にもお配りしていますが、アルバイトを含めた全従業員に、当社が行っているCSR活動を視覚的に理解してもらうことを重要視しています。これは、従業員の方が、「うちの会社ってこんな活動をしているんだ」ということを知ってもらうことで、自身の働く会社に対する誇りや、ただ働くのではなく社会問題を解決している仕事と認識しやりがいに繋げてもらえればと思っています。社会貢献は短期で終わるものではありません。従業員が参画してはじめてサスティナブル(持続可能)な活動になっていくと考えています。
年ごとにいろいろなツールを作成し、従業員30,000人全員に配布しています。2018年度版はトランプ型レポートを作成しました。トランプ1枚1枚に活動内容を記載し、家族で遊ぶ時間を大切にしてもらいながら、会社のことについても知ってもらえるような仕掛けを作っています。今後も、社内への更なる浸透を図っていきたいと考えています。
今後の課題と抱負をお聞かせください
■地域のためにできることを整理
現在、いろんな活動を横に広げてやっていますが、社会情勢を踏まえながら、当社のコアコンピタンスを活用してなにができるのかということの整理が必要だと感じています。社会貢献活動の効果的な実装には、重要課題の特定(マテリアリティ分析)が不可欠だと思います。世の中にどんなニーズがあって、それに対して我々は何ができるのかを、今一度分析をしていこうと考えています。
■経営戦略と社会貢献活動の融合
社会貢献活動を当社の経営戦略の中に組み込んでいくことも目標の一つです。我々が社会貢献活動として行っているうちは、いずれ業績が悪くなった時に活動ができなくなるかもしれません。企業の成長と持続可能な社会貢献活動を両立するため、活動自体を経営戦略の中に組み込んでいくことを、次の大きなフェーズとして考えているところです。
※1 GPEC
株式会社トリドールホールディングスでは、持続可能(サステナブル)な社会づくりに向けて、「GROW」「PLEASE」「EMPOWER」「CONSERVE」の4つのミッションをCSRの課題に掲げ、事業と一体化した取り組みを進めています。
(GROW:事業の成長と新たな雇用創出、PLEASE:食の感動、EMPOWER:高齢者雇用などにより地域を元気づけ、CONSERVE:地球環境に貢献)
※2 SDGs
「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。2015年国連サミットで採択された国際目標で、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成されています。
本日はありがとうございました。
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