人の喜ぶ顔が見える社会貢献活動とは
企業名 | 株式会社ホテルプラザ神戸 |
---|---|
代表者名 | 代表取締役 村田 敦哉 |
設立 | 平成10年6月(開業:平成10年9月) |
資本金 | 1千万円(平成29年1月現在) |
社員数 | 44名(平成29年1月現在) |
所在地 | 兵庫県神戸市東灘区向洋町中2-9-1 |
主な事業活動 | ホテル運営 |
ホームページ | |
掲載日 | 平成21年3月13日 (更新日:平成29年2月2日) |
株式会社ホテルプラザ神戸 シニアディレクター 野本 哲平さんにお話を伺いました。
社会貢献活動を始めるようになったきっかけについて教えて下さい。
11年前の開業直後に地域住民の方に何か喜んでいただけるものはないかと思い、当ホテルのスタッフがリコーダー等による演奏会をホテルロビーで始めました。当時の社長が、社会貢献活動に理解があり、社員による演奏会をホテルの社会貢献活動として認定してくれました。
その後、それを見て共感していただいたプロの活動家やいろいろな施設で演奏活動をされている方など、すばらしい技術を持っておられる方がボランティアとしてそれこそ手弁当で参加してくれるようになりました。
今でも、月に1回演奏会を行っており、地域の方にとても喜んでいただいています。
様々な場面で、社会貢献活動を行っておられると聞いていますが。
第4回全国障害者芸術・文化祭の大会が、六甲アイランドをメイン会場としてあり、当ホテルもご一緒にさせてもらいました。
当ホテルのオリジナルブランドである「Abe Cake」のパティシェ 阿部忠二が、ボランティアで、知的障害者施設の方々と時間を掛けて、ケーキづくりの技術を直接、伝授されました。その結果、知的障害者施設で作られたケーキが、当日、会場で販売されるまでになりました。この事業がきっかけで、県からのじぎく賞もいただきました。
また、宍粟の豊かな自然の中で、共同生活や体験学習を通して、個々の夢につながる自分探しができる新しい学ぶ場である県立「山の学校」(注1)から協力依頼がありました。働くことの意義をどのようにお伝えしたら良いかと考え、阿部パティシェがケーキを作っておられるところ、鷺池総料理長が料理を作っているところを実際に見ていただくことにしました。
そして、当時の原社長が、生徒たちをホテルに招待し、料理人と共に様々に工夫されたハンバーグをつくる等の職業体験をしてもらい、生徒たちと一緒に楽しむ機会をつくりました。
これらがきっかけで、県の若者の自立支援を行う「人生まなび塾」(注2)、青少年健全育成のための「ひょうご子ども・若者応援団」(注3)事業につながってきており、次世代を担う若者への支援を絶え間なく行っています。
※人生まなび塾:原顧問講演:http://www.hyogo117tv.jp/navi.cgi?20070913_11
(注1)県立山の学校:自然を中心とした学びの場で、様々な体験活動を通して、たくましく生きる力を培い、こころ豊かな青少年を育成する、自ら体験をすることによって学ぶ学校。
(注2)人生まなび塾:次世代を担う若者達に、多様な職業に触れあう機会、働くことに関するコミュニケーションの場を提供することで、自立した若者を育てることを目的とした事業。
(注3)ひょうご子ども・若者応援団:企業や事業者・社会奉仕団体等から提供される様々な資源をコーディネートし、地域の青少年育成活動に取り組む組織や団体へとつなぐ新しい仕組み。
多くの若者を受け入れておられますね。
各大学から職業体験に来ていただいており、できるだけご期待にそえるようにしております。
また、トライやる・ウィークにおいても、中学生を近隣の中学校から受け入れており、その時に来られた生徒さんと、文通もしていて今もつながっている方もいます。
来られた方には、客室の清掃、レストランの仕事等についてもらっております。体験された方からは、「次に、ホテルを利用する時は、ホテルの部屋を清掃してくれる人がいるということを思い出し、部屋をきれいに使おうと思いました。」という感想も聴きました。
社会で勉強すること、その中でも裏方となる仕事を勉強することに意義があると思います。
部屋を清掃することは、自分自身にとって気持ちのいいことであり、人にも喜んでもらえるもので、この体験は役に立っているのではないかと考えております。
人の喜ぶ顔を見て、うれしくなる、それが、また、喜びになるのです。
御社の事業と社会貢献活動のつながりを教えて下さい。
お客様に喜んでもらうことが、まず先にあり、そのような環境づくりが重要であると思っています。
企業のグローバル化が進む中で、ビジネスとして結果を求められますが、そればかりではなく、お客様に喜んでいただいた結果として、企業は良くなっていくものと思います。
将来を見越したファンづくりのためにも、社会貢献を通して人につくすことは大切であると考えています。
また、ホテル業は、常日頃から他人に対する思いやりを持った行動が必要であり、信頼をなくしたらすべてを失ってしまうという事を第一に考え運営することが肝要です。
そのような意味でも、社会貢献活動は大切であり、社員みんなが積極的に喜んで取り組んでくれております。
社員の方の社会貢献活動への意識はどうですか。
CSRというかまえたものではなく、人に喜んでいただくという、常日頃の活動が、根本的な経営理念、CSRの理念にもつながっています。
この中で、大切なことは、社員が、この職業を選んで、人を好きになって、人の喜ぶ顔を見ることがうれしいという人間が持っている特質に気付いてもらうことです。
それにより、「山の学校」でも、何とか生徒たちによくしてあげたい、役に立ちたいという熱い思いにつながったのではないかと思っており、また、いろいろなことができたのではないかと思っています。
昨年開催された「姫路菓子博2008」においては、「山の学校」の生徒さんが採った栗を使って、阿部パティシェから指導を受けた知的障害者通所授産施設の方がケーキに仕上げ、販売されました。
このことが新聞にも大きく報じられ、社員に社会貢献がしっかりと意識されているものと思っております。
これから「社会貢献活動」に取り組もうとされている企業の方々への一言をお願いします。
いくら社会貢献活動に取り組んでも、継続性が無ければ意義はありません。それにはまず企業が存続していくことが必要です。
その中で、企業の存在意義を意識し、社員の職業に対する誇りを持つことができるようにしなければなりません。
そのためにも、どのようなことで、社会貢献をしたいのか考え方を共有することが大切で、それが本業に誇りを持つ社員を育てることにもつながっていくと思います。