ふるさとの森づくりを通じた地域貢献活動
全国共済農業協同組合連合会兵庫県本部(以下、JA共済連兵庫)
本部長 大森元治さん
普及部長(兼)体制整備室長 仙賀秀和さん
にお話を伺いました。
JA共済連兵庫さんがCSRとして行っている「ふるさとの森づくり」活動を始められたきっかけを教えていただけますか?
JA共済連兵庫では、JA共済事業50周年の節目に何かふるさと兵庫に貢献できることはないか?と考えていました。その時にお会いしたのが、世界各地で森づくりを指導されている植物生態学者の宮脇先生でした。
宮脇横浜国立大学名誉教授から、阪神・淡路大震災時に、たった一列の公園の木々が、迫り来る火災から家を守ったことや、ふるさとの風土に適した木々を植えることで、土地の保水力を高め、水害時の被害を最小限に抑えることができるという話を聞きました。
また、平成16年の台風23号被害の際には、森の大きな役割を実感し、洪水にならないようにする方法はないかと考えたことからも話が始まりました。
このようなことから、木の防火力や、山や森を本来の姿に戻すことの大切さを知り、近年、他府県に比べ比較的災害の多い兵庫へのお返しとして、大切なふるさとの自然を守り育てようと考え「ふるさとの森づくり」を展開することになりました。
「ふるさとの森づくり」ではどのような活動をされてきましたか?
「ふるさとの森づくり」では、県内の各地域にシンボルとなるような鎮守の森を創ることから手がけていきました。
多様な木々を混植することによって、木々同士を競争させ、共存出来るようになることで、3~5年もすると管理しなくても自然に育ち、自然淘汰(競争・共存・我慢)しながら、永く続く強い森になります。ふるさとの森では兵庫の風土に適した50種類以上の様々な木々を混植しています。
植樹の際も地域の500~1000人の方々にご協力願い、地域に根付くような活動になるよう心がけました。また、子どもたちも植樹に参加してもらうことで、木を育てる大切さを知ってもらえるように活動してきました。
現在では、県内各地のシンボルとなる鎮守の森は全部で9ヶ所、植樹本数約3万5千本にもなり、「ふるさとの森づくり」の核はようやく完成したところです。
「ふるさとの森づくり」の今後を教えてください。
次のステップとして、鎮守の森よりももっと活動しやすい「1本でも森」活動を考えています。これは、家の庭木や街路樹などの1本の木がたくさんの家庭や道に植えられることで森をつくり、「ふるさとの森」同様に火事の延焼防止、土地の保水、二酸化炭素による地球温暖化抑制効果を期待するものです。日常で目に留まるところに1本の森をつくる事で、もっと身近に森を感じてもらい環境への関心を深め、また、活動をより多くの人に知ってもらう狙いもあります。
また、災害での被害を少なくすることも我々の役目であり、森づくりの広がりを持たせていくことが必要であると思います。
今後JA共済の組合員様にご協力いただければ20万~30万本の森をつくることができ、より大きな成果があがるのではないかと期待しています。
企業の社会貢献活動は持続していくことが大切です。これからも、出来る活動を永く続けていきたいと考えています。
「ふるさとの森づくり」以外にも交通事故防止活動も取り組まれているようですが、どのような活動をされているのか教えて下さい。
交通事故防止活動においては、ドライビングシミュレーターを活用して高齢者のドライバー適性診断、交通安全落語や幼児を対象とした体験型ミュージカル形式の交通安全教室「魔法園児マモルワタル」などを実施してきました。兵庫県警と連携した交通事故防止対策として、平成19年度から交通安全資材の贈呈、ラジオ関西を中心とした広報活動の展開、昨年は「交通安全チャリティーコンサート」を実施し、広く交通安全をPRしてきました。
また平成21年度からJA共済が一丸となって交通事故対策に取り組むために、「JA共済交通事故防止対策協議会」を設立しました。
その他に交通安全ラッピングバス(注1)事業や交通安全横断旗配布事業の支援、幼児2人同乗用自転車の普及拡大など展開してきました。特に、新しく始めた生徒向けの自動車交通安全教育事業の一環では、スタントマンによる危険な自転車走行に伴う交通事故の実演を行い、交通事故の危険性を疑似体験し、身近に感じてもらうことができました。
注1:車体全体にあらかじめ広告を印刷したフィルム(ラッピングフィルム)を貼り付ける広告を施されたバス・鉄道車両などのこと。
これから社会貢献活動に取り組もうとする企業への一言をお願いします。
今、企業の社会貢献活動は、企業を存続させていく為になくてはならないものとなっています。社会が続いていかないことには、企業も成り立って行きません。どのような活動も地域の為、兵庫の為、ひいては日本の為となり、回りまわって自分の為となります。そのような意味でもCO2削減等の環境問題や交通事故防止の解決等に取り組んでいかなければならないと思います。
自分たちの為に自分たちの出来ることから始める事が大切なのではないでしょうか。
本日はありがとうございました。