地域社会の一員としてゴルフ場ができる社会貢献
企業名 | 兵庫開発株式会社 有馬ロイヤルゴルフクラブ |
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代表者名 | 代表取締役社長 大林 功 |
設立 | 昭和45年 |
資本金 | 4,200万円 |
社員数 | 119人 |
所在地 | 兵庫県神戸市北区淡河町北畑571 |
主な事業活動 | ゴルフ場の経営・運営管理 |
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掲載日 | 平成23年7月25日 (更新日:平成29年2月2日) |
兵庫開発株式会社 有馬ロイヤルゴルフクラブ 代表取締役社長 大林 功さん、取締役 支配人 齊藤 育利さん、副支配人 総務部部長 山本 良太さんにお話を伺いました。
社会貢献を行うきっかけは何ですか?
一昔前の話になりますが、ゴルフ場は広大な土地を独占して、芝の管理のためとはいえ、農薬を散布し、利用するのは一部の裕福な人、といったようなあまり良くないイメージがありました。そのようなイメージを払拭したいと思い、私達は先代が社長を務めていたときから、地域との共存共栄を謳い、地域の方に喜んでもらえる事を一番に考えて行動してきました。私もこの意思を受け継ぎ、10年前には、地域の方と約束させて頂いていた地元の池の改修工事を行いました。現在の社会貢献活動の根底には、先代の「地域との共存共栄を目指す」という思いを具現化していきたいという思いがあります。
東日本大震災のボランティア活動に参加されたそうですね。
震災直後、個人としてはもちろんですが、企業として何かしたいと思い、兵庫県の災害対策支援本部へ打診しました。その時、ちょうどひょうごボランタリープラザで全国各地から被災地へボランティア活動に行く方に情報を提供する「東北自動車道ボランティア・インフォメーションセンター」の立ち上げ準備中で、活動スタッフを募っていたこともあり、「東北自動車道ボランティア・インフォメーションセンター」の運営スタッフとして参加することになりました。4月20日~5月2日までの間、延べ6名の社員をスタッフとして派遣しました。インフォメーションセンター運営スタッフ以外にも私を含め5名の社員が、第3回兵庫県ボランティアバス(4月19日~4月22日)に参加し、東松島市内の被災家屋の泥出し作業を行いました。全く面識のないボランティアさん達と活動を共にし、その方々の献身的な活動を目の当たりにして、私たちに出来る支援に一生懸命取り組もうという気持ちが一層強くなりました。
実は最初、若い社員を連れて行くことに少し抵抗がありました。ボランティア活動を行う場所は未だ、余震が続いていましたし、震災直後は放射能の心配もあったので、活動に参加する者はしっかり家族と相談してから参加するように伝えました。私一人でも参加するつもりでしたが、結果的には当社から11名が参加させていただきました。
活動を終えて、帰って来た者は、みんな満足そうな良い顔をしており、活動に参加した意義を感じているようでした。
阪神・淡路大震災の時も活動されていたようですが。
1995年1月17日に阪神・淡路大震災が起こった直後、「今、地域のために何かしないでいつやるんだ!」と思い、すぐに行動に移しました。震災後の1月22日~2月28日までゴルフクラブの営業を停止して、避難所としてクラブハウスを提供、レストランや浴場を被災者の方々に無料で開放し、神戸・宝塚など近隣から延べ2万人の方に利用していただきました。また、被災地での炊き出しや、クラブ内にある女子寮の土地を仮設住宅建設用地として提供するなど、出来る限りの支援をさせて頂きました。さらに、大震災復興支援ゴルフ大会を7年にわたって開催。当時プレイフィー25,000円のうち20,000円を義援金にあてるコンペ等も開催し、合計約8,000万円の義援金を兵庫県と神戸市、あしなが育英会に寄附しました。
現在、当ゴルフクラブを利用していただいているお客様の中に、当時、お風呂を利用した方がおられ「あの時はお世話になって、本当にありがとう。」って言っていただけたことが今も励みになっています。
地域住民の方と積極的に交流されていますね。
私達のゴルフ場はゴルファーだけの施設ではなく、ゴルフと縁のない人でも気軽に立ち寄れる施設でありたいと思っています。そのため、ゴルフトーナメント開催の際には、地域の福祉施設の方を観戦にご招待させていただき、当日社員がお迎えにあがるようにしています。また、クラブハウスレストランでは、地域住民価格を設定し半額以下で料理を楽しんで頂けるようにしています。できる限り、地域の皆様が一度は足を運んだことがある、そんなゴルフ場になるように日々努力をしています。
また、2008年から毎年ゴールデンウィーク中の1日を使い、コースの半分(36ホール中18ホール)と練習場を開放して「ディスカバー淡河ハイク」というイベントを行っています。
地元神戸市北区淡河町の青少年育成協議会がメインとなり、地元ボランティアによる炊き出し、凧揚げ、竹とんぼ、紙飛行機大会、おそらくゴルフ場では初めてだと思われるクロスカントリーも開催しました。ゴルフをしない、ゴルフはもちろんゴルフ場も知らない淡河町内外の子ども達や障害者・高齢者・児童福祉施設の方々にも参加していただき、子ども達の健康づくりや親子の絆を育み、世代を越えて皆で遊び語り合える時間や素晴らしい仲間を作っていただけたのではないかと思っています。
我々は会場を貸すだけでしたが、コースを目一杯使っての緑の芝生での遊びを楽しんでもらう最高の事業となりました。2017年5月には区切りの10年を迎えます。ゴルフ業界各方面からの問合せも増えており今後、同じような活動を始めるゴルフクラブが出て、大きな広がりになることを願っています。
森林再生事業「いのちの森プロジェクト」について教えて下さい。
社会の環境意識が高まっている中、多くのゴルフ場では県の緑化基金への寄附などの活動が一般化していました。我々もゴルフ場として、もっと環境のために積極的に貢献できることがあるのではないかと考えている時に、世界各地で森づくりを指導されている植物生態学者の宮脇教授(横浜国立大学名誉教授)の講演を聞き、私たちも力になりたいと思い、植樹活動をスタートさせました。兵庫県篠山市の県立丹波並木道中央公園で行われた「兵庫・丹波『ロマンの森』植樹祭」に資金援助と人員派遣をし “兵庫県の自生の木を植えて1000年もたせる”という千年の森構想に賛同させて頂いたのをきっかけに、姉妹コースジャパンメモリアルゴルフクラブのゴルフ場入口ゲート近くに設けた「いのちの森」スペースに(当クラブ駐車場横スペースにも)、「宮脇方式」で約1,000本のシイやタブなどの苗木を植樹しました。この「いのちの森」プロジェクトは、今後も継続して拡大していき、地域の自然環境維持を図り、一市民として命のつながりを後世に残していきたいと考えています。
福祉施設と連携で障害者の自立を支援されているようですが。
北区にある知的障害者や発達障害者が働き、可能な範囲で経済的自立を支援している社会福祉法人「上野丘さつき会」様と連携し、当クラブを仕事場の一つとして提供し、活動を支援しています。
10年以上前から同会の障害者を受け入れて、コースの管理作業(砂入れ、グリーンの修復作業)をお願いしています。更に、2年前から当クラブのリネン室でも勤務して頂き作業を行って下さっています。作業に対して目を見張るような集中力を発揮され、今では、大きな戦力となっています。新入社員研修の際に、その作業風景を目の当たりにした社員が「負けていられない!」と、大変刺激になっているようです。
また、コース敷地内の旧社員用幼稚園を大幅に改築し、作業所を造りました。作業所では旅行鞄の解体作業を行ったり、コース管理チームの休憩の場として活用しています。障害を持つ人にとって活躍できる場所はあるということは、その人たちの自信につながります。今は、福祉施設と契約を結んでいますが、いずれは直接雇用の形態も考えています。この福祉施設との連携事業は、他のクラブを仕事先として紹介させて頂くなど、今、広がりつつある活動です。
社会貢献活動を行っていく中で社内に変化はありますか?
社会貢献活動を行うことは社員のモチベーションを上げ、企業に厚みが出てくることにつながり、また、活動しなければ出会えなかったような方とのご縁も出てきています。
何かあれば、率先して出向き、活動する。その姿勢を代々続けて行くことが、企業文化を創っていくと思っています。
本来、ゴルフ場は、大卒の方の就職先として挙がる事が少ない職種ですが、我々の活動に感銘を受けて、入社してくれる大卒の新入社員もいます。そういったことを通して、企業としての姿勢が社会に評価され、根付いてきたと実感しています。
これから社会貢献活動に取り組もうとする企業への一言をお願いします。
どんな事業の形態であっても、社会に貢献することは出来ると思います。
「情けはひとのためならず」とは、良く言ったもので、どんなことでも、まわり回って自分に返ってきます。いつ、明日、自分たちが「される立場」になるかは分かりません。それは、表裏一体の事象なのです。ですので、する側も「させて頂いている」という気持ちを大切にしなくてはいけません。よく、ボランティアされる方が「元気を頂きました!」とおっしゃるのを聞きますが、本当にその通りだと思います。様々なことが人間の結びつきを深くするという一つの啓示かもしれませんね。
本日はありがとうございました。