ものづくりの会社として地域に密着した社会貢献活動
事業者名 | バンドー化学株式会社 |
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代表者名 | 代表取締役社長 吉井 満隆 |
設立 | 明治39年4月14日 |
資本金 | 109億円 |
社員数 | 1,308名(単体) 3,920名(連結) |
所在地 | 神戸市中央区港島4丁目6番6号 |
主な事業活動 | 各種ベルトを中心とするゴム・プラスティック製品の開発・製造・販売 |
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掲載日 | 平成24年1月25日 (更新日:平成29年2月2日) |
バンドー化学株式会社 経営企画部 部長代理 CSR・広報グループ長 小宮 正規さん、経営企画部 長谷川 武郎さん、東條 直美さんにお話を伺いました。
御社の社会貢献活動に対する考え方について教えて下さい。
弊社は明治39年に神戸の地で創業し、以来日本で初めてコンベヤベルトを製造するなど、ベルトメーカーのパイオニアとして発展してきました。現在は自動車や産業機械向けの伝動ベルト、土砂や鉄鉱石などを運搬するコンベヤベルトに加え、複写機向けの部品や化粧板や装飾印刷用途のフィルム製品など、多種多様なゴム・プラスチック製品の製造・販売を手掛けています。
弊社の製品は、消費者の方々の目に触れる機会は少ないですが、様々な産業機器や家電製品などに使われ活躍しており、良い製品を作ることで社会の発展に役立っていきたいと考えています。
また、ものづくりの会社ということで各地に生産拠点を有している弊社は、その地域社会に支えられている存在であり、地域社会への貢献は我々の使命だという意識をもって活動に取り組んでいます。
以前から、地域での清掃活動や自社施設の開放などを通じた地域交流、工場見学の受入れなど拠点ごとに社会貢献活動に取り組んできましたが、これまで「環境社会報告書」として、環境を中心にまとめていた報告書を平成23年度から「CSR報告書」に改めました。社会貢献に関する取り組みについても全社的にとりまとめ紹介しています。まとまった形で公開したことで社内のCSR(社会貢献)活動に対する意識を新たにしたところです。
社員のボランティア活動を促進するために工夫をしておられるようですが。
企業が地域社会に貢献するためには、従業員一人ひとりの地域社会への帰属意識と地域社会活動に対する自主的な参画意識を高めることが重要であると考えています。
そのため、従業員の社会貢献活動への積極的な参加を促すために、ボランティア活動情報の社内イントラネットへの掲載や、ボランティア活動を全社表彰の対象とするなど、従業員の意識の高揚を図っています。
また、社会貢献活動をより効果のあるものとするため、平成22年に社会貢献活動のガイドライン(実施細則)を策定し「①公的機関/社会貢献活動を行うNPO団体との協働」、 「②地域社会への貢献と交流」、「③工場見学などの受入れ」、「④従業員によるボランティア活動に対する支援」と4つの項目における社会貢献活動を奨励しています。協働については、県内全てのNPOとお付き合いすることはできませんが、私どもが行っている活動と趣旨や分野を同じくするNPOと協働して活動を行っています。
数多くあるそれぞれの活動を全て情報発信することはできませんが、拠点ごとに特徴的な活動の情報を集約し、社外的にはCSR報告書に載せて、社内的には社内報で情報発信を行っています。社内報では年1回“CSRについて考えよう”などの特集を組み、社内のCSR意識の高揚を図るよう工夫をしています。
各地の事業所や工場はどのような社会貢献活動を実施されているのですか?
各地の事業所や工場は、その拠点を置く地域の方に支えられて成り立っているという背景があります。そのため、社会貢献活動の多くが地域と深く関わりのある活動になっています。事業所や工場が所在する地域社会への貢献として、地域の発展、文化の向上について支援しています。
例えば、神戸市の本社事業所では、「神戸まつり」「こうべ海の盆祭り」「神戸ルミナリエ」の協賛。大阪府泉南市の南海事業所では、「男里(おのさと)秋祭運営委員会」「樽井秋祭運営委員会」への寄附。名古屋市の名古屋支店では、「名古屋フィルハーモニー交響楽団」の賛助会員として支援を行っています。また、地域社会の一員として、足利工場では地域の少年野球、ソフトボール活動のために敷地内グランドを開放したり、名古屋支店では、植樹活動、東京支店では交通安全街頭指導と、拠点ごとに様々な活動に参加しています。また、各工場では工場周辺の清掃活動も行っています。
その他にも、あまり知られていない工場の活動を地域の方々に、知っていただくために工場見学の受入れを行っています。工場見学では、地域の中学校や高校生が中心ですが、インターンシップとして工業高校、高等専門学校、大学、職業訓練生を受入れ、未来を担う子ども達への教育支援の一環として活動しています。
また、地域に限らず、各団体と協働して社会貢献活動を行っています。具体的には、(注1)NPO法人「国際連合世界食糧計画WFP協会」の会員として、世界の食糧飢饉撲滅活動を支援したり、(注2)認定NPO法人「ピープルズ・ホープ・ジャパン」の会員として、アジア途上国への医療支援活動を支援しています。
(注1リンク先)
NPO法人「国際連合世界食糧計画WFP協会」のホームページ
(注2リンク先)
認定NPO法人「ピープルズ・ホープ・ジャパン」
東日本大震災に対する支援活動もされたようですが。
東日本大震災の被災地に対して、阪神・淡路大震災で被災した経験をもつ企業として、被災地が本当に必要としている物資が手に届くように心がけました。今回の震災で弊社の足利工場も被災しましたが、幸運にも従業員は全員無事でした。
支援活動に際しては、足利工場と密に連携を取り、グループ社内で集めた救援物資を数回にわたり足利工場に運び、現地スタッフや東京支店のスタッフを通じて物資を必要としている気仙沼、陸前高田、釜石などの被災地へ届けました。
また、企業として義援金1,000万円の他、グループ企業の役職員から義援金を募り、約530万円を寄附しました。
その他、社員の被災地での災害ボランティア活動支援として、ゴーグルや安全ゴム長靴などボランティア活動に必要な装備品や現地までの交通費を会社が負担し、ボランティア活動から帰ってきた翌日には休暇を与えるなど、社員がより被災地でボランティア活動をしやすくなるようにしています。また、社員の現地での活動レポートを社内のイントラネットで紹介しました。まだ現地に足を踏み入れていない社員にも雰囲気を知ってもらえたらと思っています。
現在まで、大阪ボランティア協会、ゴム業界の労働組合、ゴム連合、関経連など様々な団体が主催する被災地ボランティアバスに弊社の社員も参加させていただいています。
実際、被災地で活動されていかがでしたか?
2日間気仙沼市で活動しましたが、初日は沿岸部の集落にある個人宅で、津波に押し流された瓦礫の山の仕分け作業を行いました。瓦礫の中からは、震災前の平穏な家族の生活を偲ばせるものが数多く見つかり、持ち主のことを思うと心が痛みました。翌日は市の中心部にある魚市場で津波に流された水揚げ用のコンテナにこびりついた重油や泥を洗い落とす作業を行った後、午後から気仙沼湾近くの地区で、個人宅の庭や道路などに散乱する大量の漂流物の撤去作業を行いました。漂流物の中には、漁港の水産加工会社の倉庫から流された大量の魚介類も含まれ、気温の上昇とともにハエが大量に発生し、強烈な腐敗臭を放っていました。2時間ほどで作業を終えましたが、30人でやっても片付かない部分が大半で、できることの少なさを痛感しました。
近所の方や漁師さんたちからの感謝の言葉や「復興したら、また遊びに来てください」という前向きな姿勢に、ボランティアに行った自分のほうが逆に勇気づけられました。被災地での活動を通じ、これほど貴重な人生経験はないと思いました。
やりきれない思いを残して神戸に帰ってきましたが、自分が体験した活動を報告書にまとめて書き、次に参加する方に繋ぐことで、多少なりとも気持ちが和らぎました。また、後日の新聞報道で活動した漁港再開のニュースを見た時は大変嬉しくなりました。
これから社会貢献に取り組もうとする企業への一言をお願いします。
社会貢献活動を全く行っていないという企業はほとんどないのではないでしょうか。また、どの企業も全ての分野の社会貢献活動を行うことはできないと思います。限られた分野であっても自分たちの得意な分野の活動を続けていくことが大切だと考えています。
本日はありがとうございました。