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兵庫県内の社会貢献企業を紹介

多様な活動資源とノウハウを持つ「企業」の社会貢献活動を促進し、「ひょうごの地域づくり活動」の輪を一層広げていくため、県内企業による社会貢献活動の実践事例や県の支援・促進施策をご紹介します。

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地域の方へ日ごろの感謝を込めて
~「ちょっとした取り組み」から始まる社会貢献~

阪神地域

事業者名 大阪油脂工業株式会社
代表者名 代表取締役社長 小島 成介
創業 昭和32年12月25日
資本金 9,762万円
社員数 45名
所在地 兵庫県尼崎市大浜町2丁目5番2号
主な事業活動 油脂類及び化学工業製品の製造、精製、加工及び
販売
化粧品、医薬部外品、食品添加物の研究開発,、及び販売
ホームページ http://www.o-y.co.jp/index.html
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掲載日 平成25年 7月12日

大阪油脂工業株式会社 代表取締役社長 小島 成介さんにお話を伺いました。

御社の社会貢献活動を始めたきっかけについて教えて下さい

                                     
            

大学を卒業後、サラリーマンを経験してから弊社に入社した時に、尼崎JC(尼崎青年会議所)に入会しました。尼崎JCは、経営者が集って地域活性化のための取り組みや、青少年の育成事業等のボランティアを行っている団体です。相対的に“明るい街づくりを目指す”ということが尼崎JCの大前提であり、そこで約16年間活動をしていました。取り組んでいた内容は、今でいうCSRの延長みたいなものでした。当時はJCでの活動を自社を含めた企業にいかに還元できるかを考えていたので、それが社会貢献活動を始めるきっかけだったと思います。
 しかし、「社内でCSRをやろう!」と号令をかけて、CSRを職務として進めていく様なことは考えていませんでした。そのため、興味がありそうな社員に声をかけ、出来る事から取り組んでいきましたが、一部の取り組みは通常職務と並行して行っていたので、大変な部分もありました。
 私は、朝礼で自分の活動も含め「普段のちょっとした取り組みがみんなの役に立つ、ボランティアになる。」と様々な活動を紹介することで、誰もがボランティア活動に参加できるのだという意識が少しずつ社員に浸透しているように思います。社会貢献活動は、自分が考えられる範囲・出来る範囲のことから始めてみたら良いのではないかと思います。
 

様々な社会貢献活動をされているようですね。

                       

 ■トライやる・ウィークにおける中学生の受け入れ

  トライやる・ウィークでは中学生を受け入れています。実はこの“トライやる・ウィーク”の提案はJCです。JCの中で、企業も中学生の立場を知り、中学生 も企業がどのような活動をしているのかを知ってもらうことが必要ではないかと考えていました。そこで、JCから県に中学生の職場体験を提案したところ、そ れが県に取り上げられ、県との協働の中で“トライやる・ウィーク”が誕生しました。当時の私はJCの活動の真っ只中にいましたから「それなら、うちの会社  も受け入れなければ。」と思い、それ以後「トライやる・ウィーク」の受け入れを行っています。
  
 

 ■古切手回収におけるボランティアセンターとの連携活動
  
  通常なら廃棄処分されてしまうような使用済みの切手やテレ フォンカードですが、それらを回収することによって有益な使い道 があることを知り、仕事で沢山の封書を戴くことから、社内でも  実践してみることにしました。
  初めは社員に対して回収作業を徹底するような指示は出さ ずに、「古切手は廃棄せずに取っておいて。」と頼むことから始め ました。また、社員から古切手を集める理由を尋ねられた際に 、「そのまま置いておいてくれていたら人の役に立つしボランティア になるんだよ。」と説明していました。すると、次第に社員間で  回収作業が浸透するようになりました。こうした取り組みは規模 こそ小さいものの、「ボランティアになっているんだ。」という意識が 必然的に沸いてくることが大切だと思います。
  回収した古切手を3ヶ月に一度ボランティアセンターに渡すと必ず御礼状をいただきます。先方から「ありがとうございます。地域の為に役立たせて頂きます。」と言われたら、回収している側も嬉しいですし、この取り組みは大切な事だと感じることができます。このような取り組みを一方的に続けていくのは大変ですが、時々、こうしたフィードバックがあるので「私がやっているのは、こういうことなんだ。」と、改めて実感することが出来ます。
 

■尼崎21世紀の森の植樹活動
  
  私は、個人的に“木”が好きで、昔は今より社員が少なく社内は植木だらけでした。以前、クスノキの種を拾ってきてプランターに撒いたところ、全ての種から芽が出てきたことがありました。その時は、ポッドに入れて尼崎の緑化協会に寄付しました。その後、偶然にも「尼崎21世紀の森の植樹活動」があることを知り、何人かの社員と参加してみようということで、植樹活動に協力するようになりました。
 

■餅つき大会

  今から16年前に火事で自社が全焼し、多方面の方々から様々な援助や協力によって、一時は廃業を考えた会社を現在の場所に再建することができました。
  これを機に、自分がお世話になった方に出来ることでかつ社員にも還元されるような活動はないかと考えていたときに、ふと「昔ながらの伝統的な催しである『餅つき』をしてはどうか。」と思いつきました。餅つき大会を始めた頃は、社員とその家族に声を掛けて「1年間お疲れ様でした。」というねぎらいの意を込めて、ついた餅を社員に持って帰ってもらい、近所の方にも感謝の意を込めて配っていました。
  餅つき大会を始めて5年ほど経過した時に「今年は近所の方にも参加してもらおう。」という声が社員からあがり、初めはお餅を持って帰ってもらうだけの予定でしたが、年々多くの方が集まるようになりました。中には、お孫さんと一緒に喜んで参加される方もおられました。
  今では規模がとても大きくなり、約300名もの方が参加してくださいます。また、餅つきの場では参加者同士が交流するようになったので、まるで地域のお祭りのようになっています。正直、ここまで賑わいを見せるとは当初は思っていませんでしたが、これもいわゆる地域貢献や恩返しに適っているのかなと思っています。
 

■100万人のキャンドルナイトinあまがさき

  電気を消しキャンドルの明かりで家族や仲間とともにスローな夜を過ごすという『100万人のキャンドルナイトinあまがさき』の実行委員である尼崎市議会議員の方から、「ロウソクを作る過程で必要な廃油を固める原料を分けてほしい」と依頼があったので、油の凝固剤を実行委員会に提供しています。このイベントで灯されるキャンドルは尼崎市内のいくつかの小学校で、環境学習の一環として子どもたちが給食の廃油で作っているものである。
  子どもたちに環境や家族と一緒に過ごすスローな時間を考えてほしいという想いに共感して、廃油を固める凝固剤を提供しています。こうした私たちにできる活動であれば、今後も協力していきたいと思っています。

■その他

  他に、現在は夜間学校に通っている学生の受け入れを増やそうとしています。夜間学校に通っている学生には、母子家庭の子どもの割合が高いので、私の会社に来ている時ぐらいは私が親父代わりになって、彼らに親父の立場から教えられることは伝えていきたいと思っています。実際に、親が家計を支えるためにどれだけの大変な想いをしているかを知って欲しいので、社内の子どもたちには、よく「親に感謝しなさい。」と言っています。

御社の社会貢献活動の特徴について教えて下さい

                       

 CSRと謳わない、押し付けないことです。全社員に地域貢献活動をさせることも可能かもしれませんが、地域貢献活動は押し付けるものでなく、ましてや仕事の一環でもないと思っています。
 また、「この地に会社があるのだから、地域の人に何かを返そう」「それが当たり前だから」という考えで、純粋に地域の方への日ごろの感謝を込めてできることを無理なく行っていることが特徴だと思います。社会貢献の活動は出来る範囲で協力していきたいですし、できることなら沢山の方々に参加して欲しいと思っています。ただ、活動に取り組むにあたっては身体やコミュニケーションを通して行う活動の方が良いと私は思っていますので、出来るだけ体を動かす活動を行うようにしています。

社会貢献活動を行う上での、地域に対しての考えをお聞かせ下さい

                                    

 以前は隣近所を意識したことはありませんでした。しかし、工場火災に遭ったことを機に、これまでの考え方が一変して、現在に繋がるような地域貢献への意識が生まれるようになりました。火災によって工場もなくなり大きな借金だけを抱えることになりました。その時に救いとなったのが人との“繋がり”でした。
 以前から工業会や商工会議所、青年会議所等、様々な会合に積極的に参加していたので多方面の方々とは親睦があり、そうした方々から多くの援助をいただきました。これを契機に「いつか恩返しをしたい」「お見舞いに来て頂いた方に仕事で返したい」「何かの形で返したい」と強く思うようになりました。そこから、全ては“人のために”というように考えるようになりました。この“人のために”という観念は、その後の社会貢献活動や会社経営においても基盤となっています。
 また、地域の方々と行う餅つき大会は、ただ純粋に地域の方への日ごろの感謝を込めて、つきたてのお餅を配り、一緒に餅つきを楽しみたいという気持ちに過ぎませんでした。会社の経営に関しても、個人や会社の利益を追求するのではなく、「沢山の人を雇ってあげたい。」という想いや多くの方との“繋がり”を求めて、定時制の高校生や年配の方の雇用にも積極的に励むようになりました。

社会貢献活動を行うことで社内にどのような影響がありましたか

                                                

 社内で、緑化の活動に出向くことを事前に伝えたところ、「一緒ににいきます。」と自ずと賛同してくれる社員が出てきました。この頃は活動の情報を社員の方から私に紹介してくれる 社員も現れるようになりました。会社の使用しないカレンダーを“カレンダー市”に出す取り組みは社員を通じて知りました。社員のこうした動きは、社内で活動を強制しなかったことにより、彼ら自身が自発的に取り組むようになったのではないかと考えています。こうした姿勢が社員の主体性を生むことにつながっているのだと思います。

社会貢献活動を行う上で、どのようなことが課題あるいは問題だとお考えですか

                                    

 ボランティアをしようと面っても、規制が多く活動に制限がかかることが問題だと思います。あれは駄目、これは駄目と規制がかかることで、断念せざるを得なくなった活動もありますし、そうした規制によっては活動意欲を阻害されることにも繋がりかねません。誰もが簡単に取り組める活動があるにも拘わらず、活動にあたっては「ここのモノを使用して下さい。」等、制限をかけられることが残念です。
 人々の想いがもっと素直に伝わるような世の中になってほしいです。“ええことしてるんやから、ええやん。”と言えるようになってほしいです。古切手の回収にしても、直接的な利益にはなりませんが、良い事をしているのですから、私は“ええやん”と考えています。

今後の抱負や展望についてお聞かせください

                        

工場見学の様子 今後、私と同じような志を持つ社員が増えてくれたら嬉しいと思っています。また、社内では固定観念が定着しているところがあるので、当たり前のことを当たり前だと決め付けないで欲しいと思っています。なので、私は「“あかん。”と思うことをやめよう。」と強く言っています。今の若い世代の人たちは平均を目指すばかりに、手足がすくんだり、小さくなってしまい、踏み出すことを躊躇してしまっているような印象を受けます。そのため、これからはもっと個人の能力を生かすことが出来る世の中になって欲しいと願っていますし、そのためには私たちの企業自体がもっと力をつけていく必要があると思っています。
 また、私は自分のいる地域に対して恩返しをするのが当たり前だと思っているので、これからもその想いを持って活動をしていきたいと考えています。

取材を終えて・・・

<キャンクリ学生実行委員会 大手前大学 4年 溝渕 健一>
<キャンクリ学生実行委員会 湊川短期大学 専攻科1年 田食 隆子>
  CSR活動をすることで利潤や名声などを求めないないという理念がとても特徴的でした。奉仕や恩返しの精神を大切にしていて、地域への思いや子どもたちへの思いが非常に強く、とても自然なスタンスで社会に恩返しをしようとされていました。形や規模にこだわるのではなく、誰もが容易に取り組め、目に見える範囲の誰かのためになる活動に尽力されていて、CSR活動についてさらに考えるきっかけとなりました。こうした思いに学生や若者が共感して、CSR活動が今後さらに広がることを期待します。

記念撮影



本日はありがとうございました。


※このインタビューは、兵庫県阪神南県民局、阪神北県民局が実施する「阪神地域キャンパス・クリエーター支援事業」で設置された「キャンクリ学生実行委員会」と協働で実施しました。インタビュー記事は「キャンクリ学生実行委員会」のホームページでも紹介されています。
  
  「阪神地域キャンパス・クリエーター支援事業」とは(外部サイトへリンク)
  「キャンクリ学生実行委員会」のインタビュー記事へ(外部サイトへリンク)

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