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兵庫県内の社会貢献企業を紹介

多様な活動資源とノウハウを持つ「企業」の社会貢献活動を促進し、「ひょうごの地域づくり活動」の輪を一層広げていくため、県内企業による社会貢献活動の実践事例や県の支援・促進施策をご紹介します。

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社員のチームワークから生まれる社会貢献
~『ものづくり』企業の精神を活かして~

              

神戸        

事業者名 株式会社 神戸製鋼所
代表者名 代表取締役会長兼社長 川崎 博也
設立 1905年9月1日
資本金 2,509億円(2016年3月31日現在)
職員数 36,338名(2016年3月31日現在)
所在地 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通2丁目2番4号
主な事業活動 鉄鋼、溶接、アルミ・鋼、機械、エンジニアリング、建設機械、電力、その他
ホームページ http://www.kobelco.co.jp/
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掲載日 平成26年3月31日
(更新日:平成29年2月6日)

株式会社  神戸製鋼所 総務部次長 神戸総務グループ長 楠山 泰司
                 総務部次長               福本 正幸
                 環境防災部 課長           吉田 寿   さんにお話を伺いました。

 様々な社会貢献活動をされていますが、まずは森林活動についてお聞かせください

                                                 

  森林整備活動は、会社内部からと外部からの2つの働きかけがあったことがきっかけです。神戸製鋼グループ(KOBELCO)は様々な会社が集まって、 一つのグループとして成り立っています。
 そこで、グループとして一致団結し、何か環境に対して自らが汗をかきながら貢献することが出来ないか、という声がグループから自然に湧き上がってきたんです。そこに、外部からの働きかけが上手くマッチングしました。
 それが、生物多様性を保護する活動の一環として兵庫県が行っている「企業の森づくり」制度および国土交通省六甲砂防事務所が行っている「六甲山系グリーンベルト事業」です。企業が自らの力を使って森林の保全をしてみないかという提案を 行政から受け、2011年秋から兵庫県内の2か所の森で「森林整備活動」を開始しました。 そのうちの一つが、三木市にあるグリンピア三木です。ここでは、約2haもある里山放置林を「KOBELCOの森」と名付け、全神戸製鋼労働組合連合会が中心となり、弊社と手を携えて森林整備活動に取り組んでいます。(2016年度から兵庫県立三木山森林公園に場所を移して活動中)

具体的にどのような活動をされているのですか

                         

 森林整備活動では、荒れた森林を少しずつステップを踏みながら整備していきます。まずは、太陽の光が地表にまでしっかり 届くように、適度な間伐を行っています。森林は、人の手が加わってこそ健全な森になると考えていますし、太陽光を森の中に入れることによって、たくさんの種類の木々を育てていきたいといった思いもあります。
 この活動は年2回、社員やOBの人を対象にメーリングリストやHP上で呼びかけます。すると驚くことに、すぐに満員となります。募集の際には、毎月でも行ってほしいといった要望があるくらいです。 活動には、OBの方も多く参加されており、退社した後も社会に何か役に立ちたいと思われている方が多くいます。こういったことからも、社員の活動に対する積極性が伺えます。
 また、『ものづくり』をしている会社ならではですが、「安全」への意識という面もこの活動から伺うことができます。実際に、手入れを行っていない森というのは荒れていて、危険な場所もあります。 そのような環境下では、自らの安全を守るために、お互いにコミュニケーションを取りながら危険予知を行うことが重要になります。これは、現場での作業にも通じるものがあると思いますし、2013年度の技術職の新入社員研修では、森林整備活動をプログラムに入れています。
 今後も自然への気持ちを醸成するような活動を模索していきたいと考えています。まだ、アイデア段階ですが、貴重種の保全活動なども計画できればいいですね。

「KOBELC O森の童話大賞」についてもお聞かせください

                         

 今の子供たちの多くは、森には妖精や可愛いくまさんがいるというイメージだけを持っていて、現実の森が併せ持っている厳しさを知る機会があまりありません。そこで、 実際の森を子供たちに知ってもらい、自然への理解を深めてもらおうと考え、2013年から「KOBELCO 森の童話大賞」を始めました。小・中・高校生に森に関するお話を考えてもらい、金賞の方のお話を プロの絵本作家に絵本にしてもらうといった事業です。環境教育の一環として、森への理解を深めてもらえればと考えています。
 

次に、御社では企業チームとしてラグビーの活動をされていますが、その活動についてお聞かせください

  弊社では、ラグビー部に、常勝チームであることはもちろん、“One for All.All for One"という ラグビーの精神をプレーで体現することで、神戸製鋼グループのブランドイメージの工場、社員やグループ企業の一体感の醸成ならびに士気高揚という役割を担ってもらっています。一方、選手たちは、ラグビーに専念できる環境を 整えてくれた会社や、応援してくれる地域の皆様に感謝して、その恩返しにラグビーを通じた社会貢献にも取り組んでもらっています。具体的には、子供たちへのラグビー普及活動や、東日本大震災への被災地支援活動、日本せきずい基金への支援等です。
 また、「すべての人々にスポーツを楽しめる機会を提供する」ことを目的に設立されたNPO法人SCIXの支援もしています。この団体では、ラグビーをやりたいが、学校にラグビー部がない中学生や高校生たちを集めてチームを作って運営しており、弊社が所有するグラウンドを利用して、 ラグビー部のOBたちが指導に当たっています。
 色々なリスクの懸念や運動できる場所の減少から、十分に運動が出来ない最近の子どもたちに、もっとスポーツを安全に楽しんでもらいたい、スポーツを通じて健全な精神と肉体を養ってもらいたいという両者の理念が活動の原動力になっています。

今お伺いした活動以外にも、コベルコ地域社会貢献基金という活動もされているようですが、どのような活動なのでしょうか

 神戸製鋼設立100周年を迎え、ここまで事業を続けてこられた感謝の気持ちを込めて、地域に何か恩返しをしたいと思いました。そこで、地域の未来を担う子どもたちの成長のお手伝いができないかと考え、 2006年度にコベルコ地域社会貢献基金を創設しました。我々は『ものづくり』をしている企業であり、形に残る『もの』で、子どもたちを支援していきたいと考えています。
 活動内容としては、子育て支援センターに遊具の提供をしたり、小学校に行事で使用するテントを提供したりしています。本当に必要としている物を知るために、実際に地域の方々と会話をし、意思疎通を行い、支援する物資を決めています。また、この活動は、栃木から北九州まで全国の事業所で 幅広く行っています。また、年2回役員以下で構成される会議で情報共有を行い、会社の公式な活動として取り組んでいます。支援した保育所等から御礼状が届くこともあり、地域の方に喜んでいただいていると思うととても嬉しいですね。

地域社会貢献活動を行ったことによって、社内で変化はありましたか

 地域への社会貢献を行ったことで社内に変化が起こったというよりも、もともとそれぞれの社員が社会貢献精神を持っており、このような場を設けることで、社員が持っていた地域への思いを引き出したのではないかと 考えています。1を2にするよりも、0を1にすることの方が難しいですが、それができた例が、先ほどの森林整備活動やコベルコ地域社会貢献基金ではないかと思います。

活動をする上で何か課題や問題点はありますか

 「ニーズをどう汲み上げていくのか」といったことが、これからの課題ではないでしょうか。コベルコ地域社会基金事業でも、色々なケースがあって、子どもの育成に必要かどうかといった見極めが難しくなってきています。 そういった世の中の変化にどう合致させていくかが、これからの活動の継続につながっていくと考えています。

今後の展開や抱負について教えてください

 さまざまな活動を通じて、社員同士のコミュニティ能力も自然と築き上げられ、『ものづくり』をする上で大切な『一体感』を持って取り組んでいます。 『ものづくり』はひとりでは出来ることが限られます。だからこそ全社的にチームワークを意識する、必然的にそんな雰囲気になるのだと思います。
 活動を更に拡大するというよりも、確実に続けていく事が重要だと考えています。地域に長く寄り添っていけるよう、これからも継続していきます。

今後、社会に出る学生に対してメッセージをお願いします


(楠山次長) この頃、友人や家族と出かけているのにもかかわらず、スマートフォ
       ンに気をとられている光景をよく見かけます。社会に出れば、今まで以
       上に色々な人たちと話す機会が増え、コミュニケーション能力が必要
       になります。もっと目の前の人やものに注意を払ってほしいですね。
        誰だって話しかけるのは難しいし、それがあまり良くない話題だとさ
       らに難しくなります。それでも、メールなどに逃げるのではなく、直接
       話してほしい。そのためにも、いろんなことに興味を持ち、幅広い世代
       と会話をして、本当のコミュニケーション能力を身に着けてほしいと思
       います。
(福本次長) 学生の皆さんには、仕事
       と遊び、そして勉強の
       バランスを大事にして
       ほしいと思います。
       社会に出ても勉強は続き
       ます。
        また、私自身も15年前
       まで、ラグビーをプレー
       していましたが、当時は
      “優勝”という結果のみを求め
       られて、負けることはダメな
       ことだと思い込んでいました。しかし、この頃思うのは、結果だけが全
       てではないということです。この前開催されたソチオリンピックでもそう
       ですが、たとえ結果に結びつかなくても、それぞれの選手にはそれぞ
       れの背景があり、オリンピックに向けてすごい努力をされて来ました。
       だから、必ずしも結果が伴わなくても、全力を尽くせば、見ている人に
       感動を与えられますし、楽しさを伝えることができるのだと思います。
       学生の皆さんも、何かに一生懸命に打ち込み、感動を伝えられる人に
       なってもらいたいです。
(吉田課長) 児童館出前エコ教室を担当した時に感じたのは、コミュニケーション
       は面白いということでした。確かに、子どもさん相手だとコミュニ
       ケーションが難しいこともあるが、「どうやったら自分の話を聞いて
       くれるだろう」など、自分の行動に何か返ってくるものがあるということ
       を考えるのは、とても面白いです。
       学生の皆さんには、人とコミュニケーションをたくさんとってほしいし、何
       事にも興味を持ってほしいと考えています。そして、社会に出るのを
       楽しみにしてほしいですね。

取材を終えて・・・・

<甲南大学 フロンティアサイエンス学部 3回生 嵜本 捺愛>
<甲南大学 フロンティアサイエンス学部 2回生 住本 実優>
<甲南大学 フロンティアサイエンス学部 2回生 野上 晴加>
<甲南大学     文学部         1回生 大平 真央>

 「私たちは『ものづくり』をしている企業ですから、資金ではなく、『もの』を提供したい。地域の人たちとコミュニケーションを取りながら、本当に必要としている『もの』を提供していきたいんです。(-コベルコ地域貢献資金の話より-)」という楠山さんの言葉に、ものづくりをしている神戸製鋼らしい社会貢献のカタチだと感じました。自分のことを考えて贈ってくれたものはどんなものでも嬉しいですよね。大企業であっても地域への感謝を忘れず、地域を大切にし、想っているからこそ、出来ることだと思います。
 また今回の神戸製鋼の取材を受けて、大企業でありながらグループが一体となって地域への社会貢献をしている、そして、現社員のみならずOBの方までも社会貢献に携わっているということに驚きと感銘を受けました。「現場をやっている人達は、一人で出来ることは少ないことを知っている。全員で一体感を持って取り組んでいる。」 - これは今の私たちや下の世代に欠けていることかもしれません。
 『 One for all, All for one. ~一人は皆の為に、皆は一人の為に~ 』 一人で出来ることは限られている、では、皆でやっていく為にはどうすればいいのか、どんなコミュニケーションが必要なのか。何か一つの『もの』を皆で作っていく、私達にもそういった経験を大学生活を通して経験していければと思います。
この度、取材に快く対応して頂いた楠山様、福本様、吉田様にこの場を借りて深く御礼申し上げます。 本当に有難うございました。  

本日はありがとうございました。

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