資源を活用した地域との架け橋をめざして
~“小さな灯”運動を源流として『いっぱいの善意・愛』を地域に~
事業者名 | 大阪ガス株式会社 |
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代表者名 | 代表取締役社長 本荘 武宏 |
設立 | 1897年4月 |
資本金 | 1,321億66百万円 |
社員数 | 5,824名 |
所在地 | 本社:大阪市中央区平野町4-1-2 近畿圏部兵庫地域共創チーム:加古川市平岡町新在家902-3 |
主な事業活動 | ガス・電力の製造、供給および販売 等 |
ホームページ | http://www.osakagas.co.jp/company/csr/index.html 大阪ガス株式会社のページへ |
掲載日 | 2014年9月24日 (更新日:2017年2月6日) |
大阪ガス株式会社
リビング事業部 兵庫リビング営業部 コミュニティ室 室長 東本 誠 さん
リビング事業部 兵庫リビング営業部 コミュニティ室 係長 桑野順一 さん
リビング事業部 兵庫リビング営業部 コミュニティ室 時信智加 さん
近畿圏部 社会貢献推進室 横田典子 さん
硬式野球部(近畿圏部 社会貢献推進室) 箱崎 豊 さん
にお話を伺いました。 (組織名は取材当時のものです)
御社の社会貢献活動の概要と仕組みについてお教えください
大阪ガスグループでは、地域に根ざしたエネルギー供給業者として、『地域』『環境』『暮らし』をキーワードとした様々な社会貢献活動を展開しています。
“小さな灯”運動に代表される慈善活動のほか、地域行事やスポーツ・文化活動を通じた地域貢献活動や環境教育・自然保全活動のほか、食育や地域防災・減災活動にも参画するなど、大阪ガスグループが有する資源を積極的に活用し、地域コミュニティやNPOなどとの協働もはかりながら、社会が直面する問題の解決に積極的に取り組んでいます。
大阪ガス株式会社では、社会貢献活動を推進する担当部署を設置し、近畿圏を中心にさまざまな社会貢献活動を展開するほか、“小さな灯”運動の事務局も担っています。
また、地域の広報・広聴担当部署として、リビング営業部コミュニティ室を各地域に設置しています。お客さまに最も近い立場で、企業活動を世の中に正しく理解していただくために、情報を積極的に公開し、経営の透明性を高めるとともに、社会とのコミュニケーションを推進する責任を担っており、地域のイベントや活動に積極的に参画して得たお客さまの声を業務に反映したり、会社の取り組みや情報等を発信したりしています。
そのほか、大阪ガス株式会社の関連企業である株式会社オージス総研が実施する環境貢献・障がい者支援「はじまるくん(R)」の取り組みに対する支援や、大阪ガス硬式野球部としても「ハートボールプロジェクト」を中心とした社会貢献活動を積極的に実施しています。
まず、“小さな灯”運動についてお教えください
“小さな灯”運動は、大阪ガスグループの企業ボランティア活動として、国際障がい者年にあたる1981年に始まり、2011年には30周年を迎えました。「ガスの安定供給以外に何かできないだろうか」との当時の副社長のつぶやきがきっかけであったと聞いています。
ロゴマークに描かれているのは、すずらんの花です。すずらんの花の形は、昔ガス燈が普及しはじめた頃に使われていた炎が消えないように覆い包むガラス製のカバーである「火屋(ほや)」に似ています。
すずらんの花の一つひとつはとても小さいですが、いっぱいの花をつけます。そして、「いっぱいの善意・愛」という花言葉をもっています。
そんなすずらんの花にも象徴されるよう、一つひとつ、一人ひとりの取り組みはささやかでも、それらを継続し、積み重ねることで大きな力になり、地域社会のさまざまな問題を解決していく一助になればという思いで取り組んでおり、大阪ガスグループの社会貢献活動を支える「マインド」の源流となっています。
この“小さな灯”運動は、“小さな灯”基金で成り立っています。基金は、500円の寄付に対してカレンダーをプレゼントする『チャリティカレンダー募金』、OBによる作品展における『すずらん会文化展チャリティ募金』のほか、従業員が気軽に寄付に参加できる『福利厚生ポイントを活用した寄付』や従業員から募った古書による『ブックリサイクル』による売上など、従業員やOB、協力会社や一般市民の方々からの寄付や募金から成り立っています。
“小さな灯”基金は、被災地へのボランティア派遣や義援金、社会福祉施設への寄付のほか、障がい者の方の手作り商品を展示・販売する『御堂筋ふれあいバザー』や児童養護施設の子どもたちに贈るお菓子をボランティアさんとともに作る『お菓子作りボランティア』などに役立てています。
「はじまるくん(R)」パソコンの寄贈が1,000台を突破されたと聞きました
(R)" class="imgalignleft">「はじまるくん(R)」は、2009年に始まった株式会社オージス総研が実施する社会貢献活動で、企業で利用終了した、まだ使えるパソコンを地域の福祉作業所で再生し、きれいになったパソコンを福祉施設や市民活動団体などへ寄贈しています。
この活動は、「もったいない」がきっかけに始まった「環境にやさしい」をベースにした活動で、障がい者の方の『就労支援』と『IT支援』を目指しています。利用終了されたパソコンを提供する“支援企業”とその再生作業を請け負う“福祉作業所”、そして再生されたパソコンを受け取る福祉施設や市民活動団体等といった“寄贈先の施設”の三者に喜んでいただいています。
大阪ガス株式会社としては、「はじまるくん(R)」パソコンの寄贈先の調整や贈呈式の設定などに協力するとともに、先に述べました“小さな灯”基金を活用するかたちでの支援もしています。
また、「はじまるくん(R)」の活動は、大阪ガスグループ以外の企業にも広がっており、寄贈パソコンは1,000台を突破しました。これもひとえに、支援企業様、福祉作業所のみなさま、そして各地の社会福祉協議会など寄贈先の選定に尽力いただいた第三者機関の方々のおかげです。今後も、改善を重ねつつ、活動を展開していきたいと考えています。。
大阪ガス硬式野球部『ハートボールプロジェクト』について、先日新聞で拝見しました
大阪ガス硬式野球部では、小学生から高校生に対する「野球教室」での技術提供、普及促進のほか、「地域清掃活動」、「グラウンド提供」といったかたちで社会貢献活動を継続的に実施してきました。
これらの活動に加えて、“野球”という資源を利用した地域との架け橋になる社会貢献活動の可能性について模索していたところ、宇治市で糸切れした硬式ボールを障がい者の方々が働く福祉作業所で再生していただく活動『エコボールプロジェクト』の存在を知り、この活動を参考にさせていただき、検討を重ねた結果、2013年4月に大阪ガス硬式野球部として新たにスタートした活動が『ハートボールプロジェクト』です。
『ハートボールプロジェクト』は、大阪ガス硬式野球部で使用しているボールの中から糸切れボールを選別し、福祉作業所に修繕依頼し、縫い直されたボールを西宮市内にある高校へ寄贈するという、あたたかい“ハート”をリレーしていくという思いを込めて名付けた取り組みです。
また、この活動を実施するにあたっては、西宮市において障がいのある方への就労支援を行っておられる特定非営利活動法人ジョブステーション西宮にご協力をいただいています。当初、このプロジェクトを始動するうえでとても重要となる課題として、糸切れボールを修繕する技術伝授や作業単価の設定、作業を請け負っていただける福祉作業所との調整や作業量等の判断といった点がありましたが、特定非営利活動法人ジョブステーション西宮に仲介に入っていただくことで、課題の議論・検証、調整が進み、15の福祉作業所にご賛同いただき、プロジェクトを始動することができました。。
大阪ガス硬式野球部で糸や革がほつれ、使用できなくなるボールは年間約200個にもなり、これまでは廃棄するしかなかったボールが、高価なためボール不足に悩む高校に贈られ、就労支援とボールの有効活用といった成果がありました。
さらに、この活動は、“ボール提供→就労支援→寄贈”といった一方通行の関係性に留まらず、福祉作業所の方々を大阪ガス硬式野球部の試合観戦にご招待するなどの交流や寄贈した高校への技術指導のほか、福祉作業所の方々と高校との交流など、積極的な活動が展開されていることは、当初の想定を超える嬉しい成果です。
福祉作業所の作業メンバーからも、「社会貢献する側に立っていることが嬉しい」「自分たちが心を込めて縫ったボールが真剣な練習の中で使用されていることはとても励みになる」「近くの高校野球部の応援ができる」などといった喜びの言葉も頂戴できました。
2014年4月、活動開始から1年で寄贈したボールが1000個に到達しました。これまでは、大阪ガス硬式野球部のグラウンドが西宮市にあることから、修繕を依頼する福祉作業所と寄贈先の高校については西宮市内で行ってきましたが、2015年には東日本大震災の被災地でもある宮城県石巻市の高校3校に寄贈しました。今後は、東日本大震災の被災地でも取り組みを広げる予定です。
また、糸切れボールの安定供給や糸切れ以外のボール修繕へのチャレンジ、交流活動のさらなる支援など『ハートボールプロジェクト』の活動をさらに発展させることや地域住民とのコミュニケーションを深め、魅力ある野球部“日本一の社会貢献活動を実施する野球部”を目指して活動していきたいと考えています。
阪神・淡路大震災以降、新たに始められた「考える防災教室」とはどのような活動ですか
大阪ガスグループでは、これまでも「エネルギー環境教育」、「食育」、「火育」などの次世代教育を通じた社会貢献活動に積極的に取り組んできましたが、東日本大震災以降、防災意識・防災教育の必要性の高まりを受けて、「防災」をテーマにした楽しく学ぶ防災教材「考える防災教室」を作成しました。
この防災教材「考える防災教室」は、小学校5・6年生を対象とし、自然災害について、写真・イラスト・マンガなどを用いて分かりやすく解説するほか、防災の具体的なノウハウをクイズなどで学ぶ内容となっています。
作成にあたっては、大阪ガス株式会社のもつ『知見』を最大限に活用しながら “防災やまちづくり・環境”に関する『知見』をもつNPO法人プラス・アーツや、“防災に関する教育プログラム”を展開されている大阪府教育センターに協力いただきながら、企画・編集しました。
2014年6月17日より、大阪ガス供給エリアの小学校に配布を開始。また、阪神・淡路大震災から20年を迎える兵庫県内では、毎月17日を『減災活動の日』としてさまざまな行事が展開されていることから、教材配布の開始にあわせて、この教材を活用した『模擬授業』を神戸市教育委員会のご協力を得て、神戸市立塩屋小学校において実施しました。当日の模擬授業は教材を使用した初めての授業のため、これまでの出張授業等を通した実践によるノウハウを活用し、大阪ガスの従業員が実施しました。
この活動が、次なる災害に備え、さらなる減災防災意識を子どもたちへ継承し、多くの学校や家庭での防災に取り組むきっかけになればと考えています。(※2017年4月に改訂版を発行予定)
これまでの活動を通した効果と抱負をお聞かせください
『御堂筋ふれあいバザー』では、障がい者の方々は自分たちの製品がたくさん売れることももちろん嬉しいけれども、それよりも販売を通してお客さまとふれ合い、お客さまの反応を感じとれることがとても楽しいとおっしゃいますし、そしてその経験を次回に活かすにはどうすればよいかを自分たちで考えるようになった、とのお声をいただきました。
また、『ハートボールプロジェクト』では、大阪ガス硬式野球部が“できること”よりも、“受け手側の視点に立つこと”“地域が求めていることは何か”をまず考えることが活動を進めていく上で大切だと感じるようになった、と部員は言います。
これらの声は、すべての活動に通じることですが、収益や寄贈数といった数の実績を上げることよりもお客さまとのふれ合いに価値を見出し、そしてその経験を踏まえてさらに進化させようと自分たちで考えるようなったことは、社会貢献活動の大きな成果と言えます。
今後も、事業を通じて得られた技術・ノウハウ、人材、施設など、大阪ガスグループが保有する資源の積極的な活用をさらに進め、他の企業はもとより自治体、学校、NPO、市民の皆さんなど多様なステークホルダーの人たちとの協働・連携を進めながら、「さすガっス」と言ってもらえるような大阪ガスグループらしい活動で、皆さんのご期待に応えていきたいと考えています。
本日はありがとうございました。