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兵庫県内の社会貢献企業を紹介

多様な活動資源とノウハウを持つ「企業」の社会貢献活動を促進し、「ひょうごの地域づくり活動」の輪を一層広げていくため、県内企業による社会貢献活動の実践事例や県の支援・促進施策をご紹介します。

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昔ながらの製法にこだわり、新たな文化にも挑戦
~廃校に灯りを!笑顔にあふれるまちづくり~

但馬地域

事業者名 日の出通商株式会社 食品カンパニー 但馬醸造所
代表者名 代表 片井 伸明
設立 平成20年2月29日
資本金  1,000万円
社員数 20名
所在地 養父市大屋町筏288番地-1
主な事業活動 食酢などの加工食品の製造及び販売
ホームページ http://tajimajozo.co.jp
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掲載日 平成27年9月17日

日の出通商株式会社 食品カンパニー 但馬醸造所
 片井 伸明 代表
にお話を伺いました。

会社の概要について教えてください。

                                                 

  平成20年2月、養父市が企業誘致を行っていたのに応募し、大屋町において、廃校となった旧西谷小学校を工場として活用し、地元市民を中心とした従業員と共に、醸造酢の生産をスタートしました。自然豊かな養父の地において、また廃校跡地を活用した工場で製品を作る企業として、3つのこだわりをもっています。
 1点目は“環境へのこだわり”です。豊かな森と清流の中で育まれる新鮮な空気に満ち溢れた養父の豊かな自然を少しでも守りたい、との想いから商品の包装紙には、原料に木材を使わないストーンペーパーを利用するなど、森林保護に努めています。
 2点目は“製法へのこだわり”です。まろやかさとコクのある醸造酢を求めて、長時間の熟成を要する昔ながらの製法「静置醗酵法」にこだわるため、校舎の建物を最大限に活かしつつ必要な改装を施しています。
 そして、3点目は“郷土へのこだわり”です。静かな過疎の地の廃校跡地を活用し、新たに工場進出する企業として、特に地域の皆さまとの関わりを大切にし、地域コミュニティの活性化や再生に努めています。

廃校跡地活用の経緯と活用方法について教えてください。

                                                 

  弊社は、『日の出みりん』や『日の出料理酒』でお馴染みのキング醸造株式会社の関連企業です。豊かな自然環境と地産地消にこだわった食品の製造をキーワードに新たな事業の立ち上げを模索していたところ、縁があってこの旧西谷小学校の跡地と出会い、養父市の企業誘致に応募し、事業を開始致しました。
 校舎という特性を最大限に活かし、それぞれの特徴的な建物・教室を活用して生産を行っています。中心となる生産工程ラインは元体育館で、天井の高さを活かし、大型の貯蔵タンクがならびます。また、元理科室は品質管理室・研究室として利用し、事務所は元職員室です。
 また、これらの特徴的な建物・教室には、先に述べた“製法へのこだわり”の改装を施しています。長期間じっくり熟成する「静置発酵法」を採用し、体育館の舞台裏のステージを床壁共に温度、湿度管理に適した杉板を貼った専用の醗酵蔵に改装しました。

”郷土へのこだわり”を具体的に教えてください。

                                                 

 単なる酢の醸造会社となるだけでなく、直接お客様の声をお聞かせいただけるよう、地元「道の駅」での試食会を行ったり、地元の「あゆ公園」のレストランでは、バイキングメニューに弊社製品を使ったレシピをご利用いただいたりしています。
 また、「地元の人と積極的に関わっていく」という社風から地域密着の企業をめざしています。毎年、弊社主催の“地区交流会”には、地元の皆様をお招きし、バーベキューや地元高校生の書道パフォーマンス、大屋中学校吹奏楽部による演奏等で盛り上がり、廃校に賑やかさが戻る盛大なお祭りとなっているほか、お酢を使った“酢料理教室”や、地元の食材を使った“酢料理コンテスト”の定期開催も好評です。

酢料理コンテストにはアイデア光る地域の方々との交流がみられますね。

                                                 

 元家庭科室を会場に、平成24年に初めて開催した「酢料理コンテスト」。第一回は「家庭でできる但馬の料理酢を使ったアイデア料理」をテーマに募集したところ、たくさんの奥様方によるアイデア料理が飛び出し、楽しいイベントとなりました。アイデア料理のレシピは弊社のホームページにてご紹介しています。
 第二回は、「社長さん達の酢料理コンテスト」として、但馬の社長さん達が料理で対決しました。第一回の参加者がすべて女性の主婦だったことから、第二回は趣向を変えて地元企業の社長に限定して募集したところ、男性ばかりの対決となりました。食材に但馬牛など高級食材が飛び出したり、味見をしてむせかえったり、食材の買い出しを間違えたりと、 男性社長さんならではのハプニングもありながら、和気あいあいと進みました。
 その後も“第一回チャンピオン率いるチーム VS 県立但馬農業高校女子高生チーム”の酢料理対決を開催するなど、酢の消費量増を目的としながら地域との交流を大切にした酢料理コンテストを開催しています。



商品名やラベルが目を引きますね。

                                                 

 生姜酢に国産の柚子、地元トチノキから採れるマロニエ蜂蜜を加えることで、まろやかかつ上品に仕上がった「養父ジンジャー」。女性を中心に大人気である理由のひとつが商品名にあります。このネーミングには、古くから地元の人に愛されている静かな神社で、紅葉の名所として有名な「養父神社」と生姜の「ジンジャー」がかけてあり、工場長の遊び心が光っています。養父神社の宮司さんにも喜んで頂き、商品は養父神社でも販売されています。
 また、「養父ジンジャー」をはじめ、但馬醸造所の商品ロゴの多くは、養父市の書家、前田華汀(まえだかてい)さんによるものです。社内にはギャラリーと、アトリエも設けられており、書道教室や作品展の開催もあります。

その他のこだわりの取り組みと今後への思いをお聞かせください。

                                                 

 製品づくりにおける“郷土へのこだわり”としては、地元企業である大徳醤油(株)の醤油と地元農家さんに作っていただいた養父産の柚子を使った「但馬のゆずぽん酢」をはじめ、地元農家の皆さんに協力頂いて、休耕田を復活させて米を栽培して頂いたり、ゆずの産地化を目指してゆずの木を植樹・栽培して頂くなど、地元の農業の活性化と地産地消のものづくりに取組んでいます。

 また、昨年9月には、内閣府大臣政務官である小泉進次郎議員が国家戦略特区であるここ養父市にお越しになり、弊社も視察いただきました。また、養父市の「がんばる養父市企業誘致プロジェクト」を活用した弊社の取り組みが、一般社団法人都市みらい推進機構が実施する「土地活用モデル大賞 審査委員長賞」(平成24年度)を受賞するなど、廃校を活用した地域活性化の弊社の事例が、廃校を持つ多くの自治体の参考事例として注目いただいていることは、起業時には想定していなかったことです。
 さらに、私共が、国家戦略特区である養父市の事業者の特区提案として、地場産の米や果実などの農産品の使用割合が一定以上の酒類について「インターネットによる酒類販売の要件緩和」を提案したところ、地域活性化や雇用の創出につながるとのご理解を頂き、特区に限定しない全国規模の規制緩和として、地域の特産品を原料とした酒類のインターネット販売の規制緩和を国税局に認めて頂けたことは、大変うれしくまた有難く思っています。
 今後も、養父市をはじめ、地域の市民、企業、農業者との交流を大事にしながら、昔ながらの製法と安心安全の製造で、風味豊かな食品をお届けして参ります。

本日はありがとうございました。

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