手打ちうどんの体験学習会を通した食育活動
事業者名 | 有限会社 井上商店 |
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代表者名 | 代表取締役 井上 賀夫 |
設立 | 昭和34年10月 |
基金 | 300万円 |
従業員数 | 20名 |
所在地 | 南あわじ市広田広田577-1 |
主な事業活動 | 各種製麺製造卸、冷凍商品・冷菓・乾物卸 等 |
ホームページ | http://www.wakameya/jp/ 井上商店のページへ |
掲載日 | 平成28年9月12日 |
井上商店 取締役 井上 賀夫 さん
営業課 島田 拓也 さん、井上 知耶 さん にお話を伺いました。
井上商店さんについて教えてください
明治34年創業の製麺所で、昭和30年頃から冷凍麺・冷菓の製造へと事業を拡げてまいりました。地元の小学校にうどんを納品していたことがきっかけとなり、小学校2クラスが弊社の工場に社会見学にきたことが、弊社が子どもたちの“食育“へ力を入れるようになった原点のように思います。
うどん学習会について教えてください
平成14年に芦屋市内の小学校に出前授業をし始めたのがきっかけで、今では兵庫県学校給食・食育支援センターからの依頼により年に7~8回小学校や養護学校で出前授業を実施しています。
学習会前には、同行スタッフみんなで前回の反省点や今回の流れを確認しています。うどん作りには、湿度や温度によって水の配合が変わるので、当日の朝に試作をしてから学校へ向かいます。
限られた時間ではありますが、実習をするからには、みんなが成功しておいしいものを食べてほしいと思い、作業内容を工夫しています。例えば、ボウルで材料を混ぜ合わす作業は力や技術が必要ですが、ボウルではなく材料を袋に入れて振ることで少ない力で簡単に、かつ時間も省くようにしています。
単に作業だけではなく「五感」で学べるように時折、香りや触感を確認してもらい、生地を寝かせている間には、小麦やうどんの歴史に関するクイズを出して、楽しんでもらいながら授業を進めています。
地域の資源を生かした商品開発をされていると聞きました
2代目の時に、地域のPRを目的として、自社の製麺に地域の特産物をかけ合わせた商品を作りたいと開発に取り組み始めました。淡路島産の牛乳や魚等、試行錯誤した結果、わかめに目をつけることにしましたが、わかめが生地になじまず、大変苦労しました。現在の「わかめ麺」が完成するまで60年かかりましたが、今では自社の人気商品となっており地域活性化の一助になればと思います。その他、淡路島産牛乳50%使用したアイスを製造していますが、現在はより牛乳の濃さを味わって頂けるよう淡路島産牛乳100%使用したアイスの新商品の開発に力をいれています。
社会貢献活動の取り組みによる社内への影響はありますか
うどん学習会は2~3人で行いますが、特定の社員だけではなく、誰でも講師役ができるようにローテーションで行います。イメージだけでは講師を務めるのは難しいので、現場で実践し、学ぶようにしています。社員が講師になることで、社員自身の研修にもなっています。
弊社では、機械で製麺を行っていますが、やはり手で打つことが基本なので、うどん学習会は基礎に振り返り、製麺のプロとしての感覚を学ぶよい機会となっています。また手で打った麺と機械で製造した麺との違いをつきつめ、機械の設定・操作に反映させて、より手打ちに近い麺が製造できるように努力しています。
この取り組みにあたり社員同士で話し合い、準備をする作業がコミュニケーションの一部にもなり、楽しみながら活動ができているので続けられています。
これからの活動について教えてください
生きていくうえで必要な「食」の有り難さ、大変さ、大切さをうどん学習会の1日限りではなく、年間を通して学べるように、小麦を植えて育てるところから実施できたらより学習効果の高い活動になるのではないかと考えています。例えば、淡路島には放棄された田んぼがあるので、その土地を活用できるかもしれません。そうすれば、食育だけではなく、農業体験学習にも活動を広げることができると思います。
学習会先の先生方から、昔に比べ給食の残飯が多いと聞きます。うどんが「粉から麺へ」となっていく五感を通じた体験を通して、普段自分たちが口に運んでいる給食や家庭での食事には、食卓へ並ぶまでに、材料から加工する工程や多くの人の苦労があることに、興味や理解を持ってもらい、これからも子どもたちの「食への関心」の底上げに寄与できたらと思います。
本日はありがとうございました。