事業を通じて地域・社会をより良くする
事業者名 | 神姫バス株式会社 |
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代表者名 | 取締役社長 長尾 真 |
設立 | 昭和2年8月8日 |
資本金 | 31億4千万円 |
所在地 | 姫路市西駅前町1番地 |
主な事業活動 | 路線バスを中心とした輸送サービス事業 等 |
ホームページ | https://www.shinkibus.co.jp/ 神姫バス株式会社へ |
掲載日 | 平成30年8月8日 |
神姫バス株式会社
総務部秘書・広報担当部長 兵働 忠志 様
バス事業部営業課長 佐藤 匡 様
事業戦略部事業戦略課課長 酒井 一哉 様
にお話を伺いました。
社会貢献活動に取り組むきっかけについて教えてください
■路線バス事業を通じたまちづくりと地域づくり
私たち神姫バスは、90年前の地域交通網が未発達な時代に、
「自社の発展をもって地域・社会をよりよくする」という創業者木下栄の強い志で始まった会社です。
その後の地道な積み重ねが、現在の神姫バスにつながっています。
当社は路線バス事業を行っていますが、それ自体が実は、行政や地域と関わりながら、まちづくり、地域づくりを行う、という性格を持っています。 最近の言葉で言えば、インバウンド(訪日旅行客)の担い手でもあります。地域の生活の足となると同時に、多くの人が訪れやすい魅力的なまちをつくることが、
当社の仕事です。その意味で、事業を通じて社会貢献を行っている、という自負があります。
社会貢献活動の概要について教えてください
■「守り」と「攻め」のCSR(企業の社会的責任)
簡単に整理をすると、CSR(企業の社会的責任)は、「守り」と「攻め」に大きく分けられると思います。このうち、コンプライアンス(法令遵守)や安全管理を通じて企業倫理を守り、
社会責任を果たすことが守りのCSRです。
■事業を通じた社会的課題の解決
攻めのCSRのうち、事業内の活動は、すなわち事業を通じた社会的課題の解決です。例えば、地方の路線を維持し、生活の足を守ることもこれに当たります。
利益だけを考えれば、地方の赤字路線を切り捨てて都市部に集中すればいいのですが、そう簡単に割り切れる問題ではありません。 この点では特に最近、宍粟市、篠陽タクシー、ウエスト神姫の三者の共同で、市内の交通ネットワークを再編し、公共交通機関の空白地をなくすという取り組みをしました。
結果として、利用人員も4割増えています。
■次世代に向けての投資
事業外で行う攻めのCSRが、当社の「ちいき・みらいプロジェクト」です。地域社会と関わりながら、未来を担う次の世代の子どもたちの育成をしていくプロジェクトで、
当社ではこれを投資的CSRと呼んでいます。文字通り、未来に向けての投資という意味です。その子どもたちが大人になった時に、 神姫バスのファンになっていただければ、大変うれしいことだと思っています。
「ちいき・みらいプロジェクト」について、具体的に
教えてください
■営業所ごとに清掃活動やイベントへの参加
営業所ごとに様々な活動を行っていますが、大きく分けると、まず地域での清掃活動や地域のイベントやお祭りへの参加です。 毎年8月に実施される「姫路お城まつり歴史パレード」に毛槍・鋏箱行列として当社の社員が参加しています。
■バスの乗り方教室
次に、交通安全教室やバスの乗り方教室です。営業所に見学に来てもらうこともあれば、小学校等に出張することもあります。
子どものうちにバスという乗り物に少しでも親しんでもらう趣旨です。 大人にとってバスはただの移動手段ですが、子どもにとってはバスに乗ること自体が楽しみになる場合もあります。
こういった活動をしていく中で、行政や地域団体、NPOとも協働しています。
活動を継続することで、社内に変化はありましたか?
■「見える化」によって、活動の輪が広がる
社内で地域貢献活動について情報を共有し、外部にも発信するようにしました。このように「見える化」をしたことで、社内でも活動の輪が広がっていきました。例えば「隣の営業所が清掃活動をするなら、こちらでもやろう」という具合に、どんどん横に動きが広がっていったのです。
■良いことも悪いことも包み隠さず発信していく
その意味で、情報の発信の仕方も非常に大事だと思いました。7月の豪雨の時、当社ではツイッターでお客様に情報を発信しました。 良いことも悪いことも包み隠さずお客様に発信していくことが大切だと考えています。今後もそういう姿勢で、企業としての信頼を築いていきたいと考えています。
女性活躍のための取り組みも行っておられますね
■ママの目線を仕事に活かす
当社も昔は女性社員の数が少なく、しかも結婚をきっかけに退職するケースが多かったのですが、今はほとんどが育休取得後、仕事に復帰しています。 会社としてもできるだけのサポートをしています。
本社スタッフの半分は女性ですし、育休から復帰して、ママの目線を仕事に活かしてほしいと思っています。
会社として、女性のバス運転手、女性管理職を積極的に登用していく方針です。女性だから大型バスを運転できない、ということはありません。 ただ営業所のトイレや休憩設備など、受入体制の整備は進めていく必要があると考えています。
今の若手から将来の管理職が現れてくれることを期待しています。
今後の課題と抱負をお聞かせください
■営利性と公共性の両立
今のところ、「ちいきみらいプロジェクト」は、従業員の善意に任されている部分があります。持続的な活動のためには、予算を付けて組織として取り組む必要があります。ただそうすると、費用対効果という面も問われてきます。
企業として、営利性と公共性とを両立させていくことが、これからの課題と言えると思います。
■子どもたちが戻って来るような魅力あるまちづくりを
かつてはバスが生活や娯楽と結びついていました。私たちの世代は、子どもの頃におじいちゃんやおばあちゃんに連れられて、郊外からバスで市の中心部に出かけて、開店前のデパートに並んだ体験があります。ところが今は、賑わいが、郊外のショッピングモールに移ってしまいました。
家族連れ、特に子どもたちがもう一度市の中心部に戻って来てもらえるような、そういう魅力あるまちづくりを考えていく必要があるのではないかと思います。
本日はありがとうございました。