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県民ボランタリー活動の促進等に関する条例の概要
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1 条例制定の背景
県内に未曾有の被害をもたらした阪神・淡路大震災も、一方でボランティアのかつてない広がりや、身近な人どうしの助け合いなど多くの人々の尊い活動が、私たちに勇気と感動を与えてくれました。また、この震災をきっかけとして、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動を行う団体に対して、法人格を付与する「特定非営利活動促進法」が平成10年3月に制定されました。
兵庫県では、これまでも「人間中心の県政」を基軸として、「生活の科学化」や「生活の文化化」など、県民生活に視点をあてた政策を一貫して展開し、成熟社会を目前に控えたいま、人間として本来有する“こころの豊かさ”の大切さを訴え、県民が自らを高めつつ、それぞれの責任を果たすなかで、新しい生活のスタイルを実現する「生活創造」をめざし、さまざまな施策に取り組んできました。
とりわけ、県民・企業・行政が連帯・協働して地域づくりに取り組む「“こころ豊かな兵庫”をめざす県民運動」を全国でもいち早く提唱し、県民の主体的な取り組みを促進してきたところです。 このため、特定非営利活動促進法を施行するための条例を制定する機会をとらえ、県民が行ったり、県民のために行われる、自発的で自律的な営利を目的としない不特定かつ多数の利益の増進に寄与する活動を「県民ボランタリー活動」として、この活動を促進する施策に関して条例を制定し、平成10年12月1日から施行することとしました。
なお、条例の制定にあたっては、ボランティア活動動向調査をはじめ各種実態調査の結果、震災以後検討を進めているボランティア活動支援センター(仮称)の構想委員会やシンポジウム等でのNPO・ボランティアの意見、県民生活審議会や県民運動研究会の報告等における考え方など、これまで県がボランティア活動を支援する施策を実施するにあたって、県民各層からいただいた意見や考え方に基づいて制定しています。
ここでは、この条例の概要と特定非営利活動法人制度について、簡単に紹介します。
2 県民ボランタリー活動の促進等に関する条例の概要
(1) 条例の趣旨
この条例では、県民ボランタリー活動を促進することにより「ボランタリーセクター」が形成され、これまで社会の中で大きな役割を果たしてきた行政や企業と並んで、社会の中で一定の役割を果たすとともに、これを通じて「自由で調和ある自律社会」が構築されることをめざしています。 本条例では、条例の背景や理念を定めた前文に加え、第1章から第3章においては、県民ボランタリー活動を促進するための施策について定めるとともに、特定非営利活動法人の認証制度に必要な事項を第4章に規定しました。
(2) 「県民ボランタリー活動」とは
ア 県民が行い、又は県民のために行う活動であること
県民が県内で行う活動はもちろんのこと、県民が県外(海外)で行う活動や県外の人が県民のために行う活動も県民ボランタリー活動として位置づけることとしました。
イ 自発的で自律的な活動であること
活動についても、誰からも強制されない、自由な意思に基づいて行われるものであり、また、活動の結果に関して責任が伴います。
ウ 営利を目的としない不特定かつ多数の利益の増進に寄与する活動であること
県民ボランタリー活動では、その活動の資金を得るための事業を行っても構いませんが、事業で得た収益を構成員の間で分配してはいけません。また、事業も特定の団体・個人等のためではなく、不特定かつ多数の利益の増進を図るような活動でないといけません。
エ 宗教活動・政治活動を主たる目的とする活動等でないこと
その団体の活動が、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること(宗教活動)や政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対すること(政治活動)を主たる目的としないものでないといけません。
また、特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反することを目的とするもの(選挙活動)であってもいけません。
この結果、例えば、震災において県内外から被災地に駆け付けてくれたボランティアの活動はもちろん、被災地での生活復興に向けた取り組みをはじめ、地域コミュニティでの高齢者等への声かけ運動、豊かな緑を守るための森林ボランティア、地域の伝統的文化を若い世代に継承させる取り組みなどさまざまな活動が「県民ボランタリー活動」であると言えます。
(3) 県民の取り組み等
ア 県・市町の責務
県の責務として、県民ボランタリー活動を促進するための施策を策定・実施し、市町の施策の援助及び総合調整を図ります。また、市町に対しても、各々の地域の状況に応じて県民ボランタリー活動を促進するための施策を策定・実施することを求めています。
イ 県民の理解
県民に対しては、地域社会において県民ボランタリー活動が果たす大切さを認識し、他の人が取り組む県民ボランタリー活動の取り組みへも理解を求めています。
ウ 事業者の配慮
事業者に対しても、事業活動と地域社会との関わりについて認識を深めるとともに、例えば、雇用主の立場として、従業員の取り組む県民ボランタリー活動が円滑に実施されるような配慮を求めています。
(4)県民ボランタリー活動を促進するための施策
条例では、県民ボランタリー活動を促進するために県が行うべき基本的施策を定め、これを実施するにあたっての基本方針を定めることとしました。
<県民ボランタリー活動を促進するための基本的施策>
ア 情報の提供
県民ボランタリー活動に関する理解を深めるための情報や、参加を希望する人が適切な情報等を提供する必要な施策を講じます。
イ 学習機会の確保
県民ボランタリー活動に必要な知識や技能を身につけることができるよう、県では県民ボランタリー活動に関する学習の機会を確保する必要な施策を講じます。
ウ 交流の促進
県民ボランタリー活動に取り組むものどうしや、行政や企業との間で、地域や分野を越えた交流を促進するために必要な施策を講じます。
エ 協働による地域課題の解決
トレイのリサイクル運動や恒久住宅への引っ越しなど、これまでも県民・企業・行政が協力・連携して、地域の課題の解決に向けて取り組まれてきました。県でも、このような地域の課題解決に向けた取り組みに対して、必要な施策を講じます。
オ 調査、開発等の推進
県では、県民ボランタリー活動を促進するために、県民ボランタリー活動の実態について十分把握するとともに、それを促進するための手法を開発していくよう努めます。
カ 支援拠点の整備
県民ボランタリー活動を促進する施策を効果的に実施するために、県ではボランティア活動支援センター(仮称)をはじめ、県民ボランタリー活動を支援する拠点を整備します。
キ 県民意見の反映
県民ボランタリー活動を促進するために県が取り組む施策の策定・実施にあたり、県民各層からの意見を求め、それを反映させるような施策を講じていきます。
ク 県民ボランタリー活動の促進のための措置
アからキに掲げた以外にも、条例の趣旨にのっとり、県民ボランタリー活動を行い易いように支援制度などの活動環境を整備したり、必要な措置を講じるよう努めます。
<基本方針の策定>
県では、県民ボランタリー活動を促進するための施策を実施するにあたり、県民各界各層の代表で構成される県民生活審議会の意見を聴いて「基本方針」を策定し、公表します。なお、策定にあたっては、県民の意見も広く求めていきます。
<県民ボランタリー活動を促進するための施策の実施に当たっての配慮>
県民ボランタリー活動を促進するための施策を実施するにあたり、県民ボランタリー活動に関して配慮をします。
(5) 特定非営利活動促進法の施行にあたり必要な事項
特定非営利活動促進法において、法の施行にあたり条例で定めることとなっている、次の事項等の規定を置きました。なお、法の一部改正(平成15年5月1日施行)に伴い、定款変更の認証申請書に添付する書類の追加等の規定整備をしました。
ア 設立認証申請書の記載事項等
イ 縦覧の公告方法及び公告事項等
ウ 設立登記の届出等各種届出の記載事項等
エ 事業報告書等の提出時期
オ 解散に関する各種申請書・届出書の記載事項等
カ 合併の認証申請書の記載事項等
※ 特定非営利活動法人の設立・運営については、こちらをご覧ください。
TEL: | 078−362−3996 | ボランタリー活動支援係 |
TEL: | 078−362−9102 | NPO法人係 |